《南海地方の変動に監視が必要》
との注意を呼びかけてから2日後の3月14日未明、愛媛県の北西に位置する伊予灘を震源とするM6.2の大地震が発生。中国、四国、九州地方の広い範囲で震度4以上の揺れを観測し、愛媛県では13年ぶりとなる震度5強を記録した。
冒頭は3月12日付のメールマガジン『週刊 MEGA地震予測』の指摘だが、ズバリ的中させていたのは、東大名誉教授の村井俊治氏だ。
村井氏は地震学者ではなく、地表の位置関係を測定する測量工学の権威。その彼が注目しているのは、人工衛星で観測される地殻の動きだ。
「日本には全国に1270か所設置された電子基準点と呼ばれる装置があり、衛星からの電波を受信することで、絶えず国土地理院に正確な位置情報を送り続けています。過去に発生したM6以上の大規模な地震と、発生前後の周辺の地殻の位置情報を検証したところ、そこに相関関係があることを突き止めたのです」(村井氏、以下「 」内同)
村井氏によると、地震が発生する前に震源から近い場所で地殻の隆起や沈降が観測されているという。また、大きい地震ほどこうした前兆現象が確認されてから地震が発生するまでのタイムラグがあり、M6クラスなら1、2か月、東日本大震災クラスなら半年ほどかかるのだという。
「今回の伊予灘地震も、1か月ほど前から、震源にほど近い高知県の平野部や沿岸部で隆起や沈降が確認されました。そのため私は、メルマガで地震への注意を促していたんです」
そんな村井氏が今、最も危惧しているのが南海地震だ。現在、政府が最も警鐘を鳴らす「東海」「東南海」「南海」の3連動地震、南海トラフ地震のひとつで、そのどれかひとつが発生すると、続いて他の地震も発生するといわれている。
中央防災会議は、南海トラフ地震が起きた場合、最大震度7の揺れが太平洋側一帯を襲い、最大30mを超える巨大津波によって、その犠牲者は30万人を超えるのではないかと試算している。
「昨年6月末から7月はじめに九州、四国、紀伊半島で異常な地殻の変動があった後、9月1日からの1週間にかけて910の観測点で4cm以上の変動が確認されたんです。そして、それから1か月後の10月にも九州、四国地方で隆起と沈降の動きがありました。その後は静謐状態が続いていますが、2012年1月から計算すると場所によっては10cmも隆起している場所がある。東日本大震災の時と酷似したため、私は今年3月くらいまでに南海地震が起きるかもしれないとメルマガで発信したんです。
私が南海地震の前兆現象と考えていた地殻の動きはもしかすると、今回の伊予灘地震の前兆現象だったのかもしれません。ただ震源は近いですが、地震の規模に関しては予測していた地震に比べて、はるかに小さいものでした。
あと3か月くらいは南海地震、そしてそれに連動する南海トラフ地震が起きる危険性は充分にあると思っておいた方がいいでしょう」
※女性セブン2014年4月3日号