大の相撲ファンとして知られる脚本家で元横綱審議委員の内館牧子さんが相撲にハマったのは4才の時。どこに行くにも紙相撲を持参して遊んでいた。
「32~33才まで、北の富士の追っかけしてました。当時はOLをしていたから“祖父が亡くなりました”とか嘘ついて会社休んでね。
“内館さんの親戚はみんな場所中に亡くなるねえ”とか“そのおばさん、先場所も死んでた”なんて言われたりもしながら(笑い)。
でも好きだからじっとしていられないの。東京はもちろん、新幹線や飛行機に飛び乗っては、全国追っかけていましたね。チケットが買えない時には出待ち、入り待ちもして。お相撲さんのびん付け油の匂いがするだけで“はあ~、いいわあ”ってなる。大関や横綱に昇進したときに肩車する若い衆5人いたら、5人全員の出身地と体重身長が言えましたよ」(内館さん・以下「 」内同)
幼少期から今まで相撲ノートを取り続けている。取組内容はもちろん、ばんそうこうの貼り方、客席の様子、“○○親方が物言いの時こんないい方をしていたのはちょっとよくない”などということまで詳細に書きこみ続けていた。
「横審(横綱審議委員)になった時は“元祖追っかけが横綱審議委員になりました”とニュース原稿を読まれたくらいでした(笑い)。私は土俵の女人禁制を守りたい。でも、女人解放を叫ぶ人たちを相手にするには勉強するしかないと思って、東北大学大学院に行きました。仕事を休んで3年、お金はかかるし二重生活だし、大変でしたが、あれは絶対にやらなきゃならなかった」
そこまでの相撲への情熱に、作家・林真理子さんらから賛辞を贈られたという。
「ハマる人たちは、まず最初に“好き”があるんです。自分の生活に不満があって、そのはけ口ではないの。何よりもその対象が“好き”なの。不満があったとしても、対象にさほどの思いもない人たちが“よし、追っかけしてみよう”と思ってもできるもんじゃないんですよ。カントを読むのが高尚で、ヨン様を追いかけていたら低俗と考えるのは、貧しいこと。私が大学院に入ったのも、相撲が好きで、いても立ってもいられなかったから」
※女性セブン2014年4月3日号