ベトナム戦争といえば、共産主義陣営の北ベトナムと、資本主義陣営の南ベトナム及びそれを支援したアメリカによる戦争というイメージが強い。韓国軍が米軍に次ぐ規模で参加していたこと自体、日本では一般にあまり知られていない。
産経新聞ソウル駐在特別記者の黒田勝弘氏が解説する。
「米・韓・南ベトナム側からすると、韓国軍はよく戦果を上げる勇猛な部隊として知られていた。当時、ベトコン(北ベトナムの兵士)から最も恐れられたのは韓国軍だといわれています。
韓国にとってみれば大韓民国が成立して初めての海外派兵。アメリカや世界に存在感を見せるため、精鋭部隊を送り込んだ」
韓国政府がアメリカ政府からの要請を受けベトナム派兵を決定したのは1964年。当初は医療部隊など、南ベトナム政府軍の後方支援に限定した派兵だったが、1965年10月、戦闘部隊の大規模派兵を決定する。そして韓国は1964年から1973年までに延べ32万人を派兵。万を超える兵を派遣したのはアメリカと韓国だけである。
※週刊ポスト2014年4月4・11日号