全身ありとあらゆるところにあるツボを刺激するのは今も昔も変わらない健康法だ。しかし、そのツボ刺激に、ヨガの呼吸法を合わせることで、その効果がさらに期待できるという。そのなかから今すぐに、簡単にできる「眼ヨガ」の理論とやり方を、「龍村ヨガ研究所」所長で『龍村式ヨガ健康法 眼ヨガ』(日貿出版社刊)著書の龍村修氏に案内してもらった。
「眼ヨガ」は、ヨガの呼吸法やポーズに眼のストレッチを組み合わせた、龍村氏独自の健康法。心身の「気」の流れを整えることで、その人が本来持つ“眼力”を引き出し、眼の疲れや視力の衰えなど、様々な不調を改善する。
例えば、眼をリラックスさせる「照気法」。方法は両手のひらをこすり合わせて温め、眼を閉じて両手のひらで両眼を覆ったら、ゆっくりと10回深呼吸する。息を吸って吐くたびに眼の血行が良くなり、視界がみるみる明るくなったように感じる。
疲れ目には眼のストレッチが効果的だ。ひと息吸って、吐きながら眼球を動かす。上下、左右、斜め8方向への視線をそれぞれ10~20秒キープして眼の周りの筋肉を伸ばしてから視線を正面に戻し、深呼吸することで眼の緊張が緩み、老廃物が排出されて、疲れが早くとれるという。
目を8通りの方向に動かすほか、息を吐きながら眼球を大きく回転させることでも血行改善の効果が期待できるようだ。
龍村式眼ヨガでは深い呼吸に合わせて、ツボ刺激を行なうのが特徴だという。
「ただツボを押すのではなく、息を吸い、老廃物を吐き出すイメージをしながら押すことが肝心です。呼吸と組み合わせることで血中に酸素が巡り、末端部まで組織が正常に働く。ツボ押しの効果が増します」
呼吸は鼻から吸い、口から吐くことを意識する。口から吐くほうが、より体内の浄化が進むそうだ。実は眼にも運動不足があると、龍村氏は指摘する。
「現代人は視野がとても狭い。視野が狭まれば、眼の運動範囲も狭まります。運動不足で筋肉が凝り固まると、血行不良で老廃物がたまる。すると、眼を少し使っただけで疲れる悪循環に陥るのです。パソコンやケータイのブルーライトも、現代人の眼を疲れさせる原因ですね」
そこで、パソコンを1時間したら、眼のストレッチやツボ刺激で眼筋をほぐすことを龍村氏は勧める。目筋をほぐすには眉間、眼の内側、眼の上側、眼の外側、眼の下側の5つのつぼを刺激するのがよい。
「眼が疲れ切ってから目薬をさすのではなく、疲れを溜めない工夫が大事。メガネも眼球の本来の動きを阻んでしまうため、たまにメガネを外して眼を休ませるといいでしょう。眼ヨガで視力が改善される例はよくあります。老眼を遅らせることも期待できますよ」
眼ヨガの極意は、普段動かしている範囲よりもできるだけ大きく、眼球を動かすこと。仕事の合間にツボ刺激をすれば、気分もリフレッシュするはずだ。
※週刊ポスト2014年4月4・11日号