日本人はとかく健康情報が大好きだ。1974年に健康雑誌『壮快』が創刊されると、健康雑誌ブームが到来。その後増減を繰り返しながら、現在、定期刊行されているのは14誌にものぼる。多くの健康雑誌では、健康法を単に紹介するのではなく、「この健康法、健康食品によってこんな効能があった」といった体験談を多く紹介する。
『壮快』1992年4月号で、3日間リンゴしか食べないでダイエットする「リンゴダイエット」が大ブームとなり、リンゴが売り切れるスーパーが続出したが、本格的なダイエット時代が到来するのは1990年代後半からだ。
その皮切りが、『壮快』1997年9月号の〈あっという間に七キロやせ なんと!胸が大きくなった人大続出の《バナナダイエット》〉という特集だ。健康食品の発案者として活躍していた主婦が新たに考案したもので、黒酢の粉末とバナナの粉末を牛乳で割って飲むというもの。
〈バナナは繊維質で量のわりにカロリーが低く〉〈満腹感があって栄養のバランスもいい〉ので、食事の前に飲んでいたら2か月余り後には体重が5キロ減り、にもかかわらず胸がCカップからEカップになったという。
〈らくちんダイエットの決定版〉と銘打った特集にはそんな体験者が何人も登場。その後も『壮快』は1999年の半ばまで数回バナナダイエットの特集を組んだ。
以後、イチゴミルクダイエット、焼き梅干しダイエット、焼きトマトダイエット、グレープフルーツダイエット、豚キャベツダイエット、納豆菌ダイエット、焼き芋ダイエット、讃岐うどんダイエット……と、毎号、手を変え品を変える空前の食品ダイエットブームが到来したのである。
※週刊ポスト2014年4月4・11日号