いよいよ3月28日にプロ野球の開幕戦を迎えるが、オープン戦を通じてファンをやきもきさせたのは、阪神タイガースの不振だろう。終わってみれば、16試合で3勝10敗3引き分け。3月12日の激励会では、坂井信也オーナーが「心配を募らせている。昨季の課題をまだ払拭し切れていない。ギアを上げていただきたい」と、危機感を口にしたほどの異常事態だ。
だが、意外や意外、“阪神が勝てなければ売れない”はずの関西スポーツ紙はこの事態を喜んでいる向きすらあるという。在阪スポーツ紙記者が語る。
「今年、和田豊監督は契約最終年。優勝できなければ、契約満了で退団は濃厚。そうすれば、昨年秋、GM付育成&打撃コーディネーターに就任した掛布雅之氏が監督になる可能性が高い。掛布監督の誕生となれば、関西は大いに盛り上がりますよ」
1988年に引退して以来、楽天監督やロッテ打撃コーチの就任の噂もあった掛布氏だが、実現には至らず。その裏には、阪神への強い愛情があったという。
「現役晩年は当時のオーナーに『欠陥商品』と罵られるなど、晩節を汚した形になってしまったが、掛布氏は阪神で現役を終えている。“ミスタータイガース”と呼ばれた田淵幸一氏や江夏豊氏は、阪神で現役を全うしておらず、古巣での監督就任も実現していない。
掛布氏も現役時代の晩年、ヤクルトの関根潤三監督(当時)から誘われ、移籍話があったが、『阪神で終わりたい』と育った球団での引退を決意した。それだけ、阪神への思いは強かった」
そして、引退から四半世紀経った昨年秋、ようやく古巣に復帰。秋季キャンプでは、今成亮太を「小掛布」、森田一成を「小バース」と呼び、話題を呼んだ。前出・スポーツ紙記者はこう話す。
「掛布さんは、とにかく、見出しになる言葉を言ってくれるんですよ。シーズン中以外は、紙面を作るのが大変なんです。そのなかで、掛布さんは見出しを打てる一言をくれる。評論家生活が長かったこともあって、その辺はちゃんと心得ているんでしょうね。ファンからの人気も絶大ですし、本音を言えば和田監督に間違って優勝してもらうよりも、今年はそこそこの成績で、オフの掛布監督の楽しみを心待ちにしています(笑)」