犬には、「犬種ごとに気をつけたい病気」というものがある。たとえば、ミニチュアダックスフントの椎間板ヘルニア。胴が長く、脚が短いダックスはどうしても背骨に負担がかかり、椎間板が変性するなどしてヘルニアになりやすいわけだ。3月19日に発売された『犬の名医さん100人データブック』(小学館刊)に登場する、大阪府吹田市の千里桃山台動物病院の嶋崎等院長が、人気犬種ごとの気をつけたい病気と、その予防法について解説する。
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トイプードルやフレンチブルドッグ、パグ、チワワやヨークシャーテリアなど小型犬に多い膝蓋骨脱臼は、そうなる可能性を知っておくことで一定の予防や対処は可能だと思います。椎間板ヘルニアと同様に、フローリングなど滑りやすい床を、滑らないように絨毯を敷くなどしてあげてください。
また、トイプードル、パグ、シーズーやゴールデン・ラブラドールレトリバー、柴犬などに多い皮膚疾患も、その可能性がわかっていれば、日頃の適度なブラッシングや獣医師指導の下のシャンプーなどで、予防ができたり、状態を改善できたりすると思います。
中には、ゴールデン・ラブラドールレトリバーのがんや、ウエルシュコーギーの変性性脊髄症のように、なかなか予防法や治療法がないものも確かにあります。
しかし、それでも、がんであれば一定年齢以降の定期検診で早期発見できれば、それだけ早期治療が可能となります。治らない場合であっても、犬のQOL(生活の質)をできるだけ維持できる場合があるなど選択肢も広がるはずです。
変性性脊髄症は、現時点では予防法も治療法もありませんが、車椅子を早めに使用することで、犬は移動することができるようになります。特に最近は、麻痺の広がりによる重心の移動にも対応した車椅子まで開発されています。
また、パグの脳炎やチワワの水痘症のように、一度でも発作が起きればMRI検査によって早めに確定診断することによって、薬でのコントロールなど今後の治療方針が明確になります。
※『犬の名医さん100人データブック』(小学館)より