産婦人科医・宋美玄氏が3月19日に新刊『少女はセックスをどこで学ぶのか』(徳間書店刊)を上梓した。15年に及ぶフィールドワークから少女たちの最新の性の実態を描いたこの本には、父親なら目を背けたくなる「現実」がある。宋氏が指摘する。
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私は産婦人科医として、これまで色々な10代女性を見て来ました。その中には、「11歳でクラミジアに感染」「12歳で妊娠し、13歳で出産」などというケースもありました。これは確かに珍しいケースでしょう。しかし読者の皆さんは「自分の娘や孫にも当然起こりうる話」と意識しておく必要があります。
財団法人「日本性教育協会」の調査によれば、性交経験がある女子の15.9%が初体験の年齢を「14歳」と答えています。15歳は28.6%、16歳は29.3%となっています。これは男子に比べて非常に早く、セックスについては女子の早熟化が進んでいます。
この現実は、親の意識と大きく乖離しています。私はこの本を書くにあたり、全国の10代の娘を持つ親200人(父親100人・母親100人)を対象に、インターネットによるアンケート調査を行ないました。そこで「娘は処女だと思いますか?」と問いかけたのです。すると、父親の96%、母親の97%が「処女だ」と答えたのです。
少女たちのリアルな姿を見ようとしない親の姿を浮き彫りにするデータだと思います。
なぜ10代女性の性経験が早まっているのか。診察室に訪れた10代女性と多く話してきた私の実感からすれば、「KY」を恐れる“今どきの若者”の傾向が大きく影響しています。性的に奔放で積極的というより、好きな男性に対して「嫌われたくない」「求められるからしかたなく」といった受容的な態度を取った結果、妊娠したり性感染症にかかってしまう場合が圧倒的に多いのです。
少女たちは自分自身の気持ちより、まずは男性との関係性を優先しようと、相手の欲求に応えてしまう。相手よりもまずは自分の体と心のことを考えるべきという当然のことを、学校も親も教えてくれないからもたらされた不幸な結果といえます。
結果、性感染症と望まない妊娠は増加の一途をたどっています。
※週刊ポスト2014年4月4・11日号