2013年、ユネスコの無形文化遺産に“和食”が登録された。健康的で栄養バランスがよい和食は海外でも人気だが、なかでも和食の深い味わいを象徴するみそは、生命維持に不可欠な必須アミノ酸をすべて含むなど、優れた栄養バランスを誇る食品だ。独特のうま味が動物性脂肪の過剰摂取を抑える利点もある。
女子栄養大学副学長で、栄養化学研究所所長の香川靖雄さんも、「和食の礎である“ご飯とみそ汁”は、2品で必要な栄養分の多くをカバーできる理想の組み合わせです。日本人は東アジアに特有の飢餓に対する耐性を備えた遺伝子型をもっているため、肉食中心の食生活では肥満になりやすいので健康のためにも、ご飯 とみそ汁を基本とする日本古来の食生活を大切に」と解説する。
おいしいだけではなかったみその威力をじっくり覗いてみよう。
【食塩より30%もの減塩効果あり!】
共立女子大学 家政学部臨床栄養学教授の上原誉志夫さんが行ったラットによる実験で、食塩と、同じ量の食塩を含むみそを比べたところ、食塩よりみそのほうが血圧に影響しにくく、約30%もの減塩効果があることが判明。また別の研究では、みそが血圧を下げる作用も検証されており、高血圧予防が期待されている。
みそは少量でうま味のある味つけができ、前述の減塩効果もあるため、みそ料理の塩分量は決して多くない。たとえばみそ汁1杯の塩分は約1.2g。1日の塩分摂取目標量は、男性9g未満、女性7.5g未満なので、塩分のためにみそ汁を控える必要はないのだ。塩分の吸収 を防ぐほうれんそうやいも類、ごぼうなどを具にするのもおすすめだ。
【みそ汁を飲むほど胃がんによる死亡率が低減】
日本人に多い胃がんの要因のひとつに、塩分の摂りすぎが挙げられるが、みそ汁を飲む人ほど胃がんによる死亡率が低いことがわかっている。特に男性では、まったく飲まない人と毎日飲む人の差は1.5倍。また毎日、喫煙・みそ汁を摂取する人のほうが、喫煙・みそ汁ともに 摂取しない人より胃がんによる死亡率が低いという調査結果もある。
【乳がん発症率が40%減少】
現在、日本人女性でもっとも罹患率の高いがんは乳がん。厚生労働省が40~59才の女性約2万人を対象に行った 10年間に及ぶ疫学調査によると、みそ汁を1日1杯未満飲む人に比べ、2杯の人は26%、3杯以上飲む人は40%も乳がんの発症率がダウンした。1日3 食、みそ汁を飲む習慣が、乳がん予防に効果が期待できるわけだ。
※女性セブン2014年4月10日号