国民生活に負担を強いる消費増税が実施された。国は3%の増税で約7.5兆円の収入増をあてこみ、「社会保障費への捻出」「物価上昇による景気拡大、雇用創出」などバラ色の未来を描いているようだが、そんなにうまくいくのだろうか。
一貫して「消費税は公平を謳いながら、実は不公平な税制」と指摘する大阪経済大学経営学部客員教授の岩本沙弓さんが、消費増税“賛成論”のウソを暴く。
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消費税増税の推進する向きからは、賛成する理由として賃金に対して直接の負担を求める社会保険料に比べても雇用の創出に中立的だから、という点があげられています。果たして本当に中立的なのかどうか、ここは大きな疑問が生じます。
消費税の納税額の算出方法を簡略化すると、「(売上―経費)×消費税率」ということになります。消費税の納税義務のある事業主としてみれば、いかに「経費」の部分を多く積み上げられることができるか、それ次第で消費税の納税額が変わってきます。
ポイントはこの「経費」に人材派遣業社などへの支払いを含めることができるということ。言葉は悪いですが、非正規労働者はモノのように扱われることで「経費」の一部と見なされ、「売上」から引くことが可能となります。
その結果、消費税の納税額を減らすことができる、という仕組みとなっています。つまり、消費税を導入すればするほど、そして税率が上がれば上がるほど正規雇用者の数はますます減少しやすくなるのです。
消費税導入、橋本政権下で3%から5%へと引き上げの歴史と、非正規労働者が増加の時期は、もちろん小泉政権下での雇用の規制緩和も併せてということになりますが、重なっていると言っても過言ではないでしょう。
正規雇用を減らし、非正規雇用を増やす作用のある税制度が果たして雇用の創出に中立的と言えるのでしょうか。