最近、韓国では日本製品や文化、日本人が大好きな韓国人のことを「イルポン(日本中毒)」と呼ぶ。「日本」を表す「イルボン」と「ヒロポン」(かつて存在した覚醒剤の商品名で韓国でも知られている言葉)を合わせた造語だ。日本に憧れ、歴史問題などで韓国の主張より日本を信じるようなイルポン現象に火がつき始めているのだ。
在韓ジャーナリストの藤原修平氏と、新刊『嘘つき韓国の正体』(小学館ポスト・サピオムック)を上梓したSAPIO編集部の取材班が韓国の最新事情をレポートする。
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韓国人が日本を好きになる理由はさまざまだ。
20~30代に多いのが、中学や高校で第2外国語として日本語を選択したことがきっかけで日本のアニメやドラマに親しんで日本に興味を持ったパターン。40~50代では、幼少期から両親や祖父母から日本統治時代のことを聞かされて育ち、自然と日本への親しみを持った人が多い。
ただしここ数年は、李明博・前大統領が日韓首脳会談で慰安婦問題の解決を突然迫り(2011年12月)、竹島上陸を行なう(2012年8月)などのパフォーマンスもあって反日機運が高まり、「日本が好き」と言うことが憚られる世相になっていた。
最近、その風潮に変化が見られるようになったのには理由がある。後を継いだ朴槿恵・大統領の行き過ぎた反日政策に、国際社会だけでなく韓国国内からも批判が出始めたのだ。
今年1月27日付の韓国紙・中央日報電子版は1949年に死去した韓国の有力政治家・金九の言葉を引きながら「親日派がもっと出てくるべき。いなければ育てよ」とする論説を掲載した。
記事は日本との関係改善こそ韓国経済にとって重要であると位置づけた上で、「日韓首脳会談をいつまでも拒否すべきでない」「経済報復や嫌韓感情を刺激するのは自殺行為」「感情を抑えて冷静に日韓関係を構築しなければならない時期」などと述べている。
日本統治時代を知る92歳の男性は、当時の日本が朝鮮半島の近代化に大きく貢献したことを実感しており、「それを否定して反日行動に走る若い連中は当時のことを知らないだけ」と言い切る。
元公務員で現在は日本を相手に商売する50代のビジネスマンは、韓国が国際的にロビー活動して「日本海の呼称を東海に変えよ」と運動することに苦言を呈する。
「国際的にはJapan Seaと言うじゃないですか。韓国語の言い方を押し付けたところで、何の得にもならない」
彼は理系の博士号を取得した日本で、学問以外に学んだことがあるという。
「日本は私にいろいろなことを教えてくれました。高い技術、礼儀作法、そして節度。貧しい家に育った私が今こうして一人前に暮らしていけるのは、日本で得た宝物があるからです」
※SAPIO2014年4月号