戦後のベビーブームで生まれた「団塊の世代」(中心は1947~1949年生まれの約664万人)は、高度経済成長期の1960年代に青春期を迎え、以来、経済成長の労働力を担ってきた。他の世代に比べて人口が極端に多く、ありあまるマンパワーで良くも悪くも社会、経済、文化に大きな影響を与え、日本を背負ってきた。
その団塊の最後尾の1949年生まれが今年65歳を迎える。社会保障を支えてきた世代が、完全に「支えられる世代」となって、若い世代に重い負担を強いることになるため、「日本社会の不良債権」とさえ呼ばれている。
「われわれが頑張って貧しかったこの国を豊かにしてきた」と自負する団塊世代にすれば、心外極まりない呼び方かもしれない。しかし、彼らが残した借金を見れば、そういわれても仕方がないのである。
典型的なのが年金だ。日本の人口構成がピラミッド型だった高度成長期に整備された日本の公的年金制度は、現役世代が払う保険料で高齢者に年金を支給する「世代間扶養」の仕組みを取っている。上の世代より圧倒的に人口が多い団塊世代は、1人あたりでみると少ない負担で高齢者の年金を支えることができた。
しかし、団塊世代のリタイアで年金を支える側と支えられる側の人口ピラミッドは逆転した。現在、公的年金の純債務(積み立て不足)は厚生年金580兆円、国民年金110兆円の合計690兆円にのぼる。現役世代(15~59歳。約6600万人)で頭割りすると1人あたり約1000万円もの巨額の年金債務が残されたのだ。
※週刊ポスト2014年4月18日号