今シーズンの締めくくりとなる世界フィギュアスケート選手権大会で初優勝を決めた羽生結弦(19才)の元へ真っ先に駆け寄ったのは、0.33ポイントの超僅差で破れた町田樹(24才)だった。
町田:「いやぁ、すごい。おめでとう! いやぁ、負けた」
羽生:「超ちょっとですよね。一緒に表彰台あがりましょうよ!」
町田:「悔しいけど、まぁ…ありがとね」
羽生:「だって樹くんは2つともハマってるじゃないですか。だってオレ、ハマってないもんショート」
町田:「いやぁ、いい闘いでした。ありがとう」
直前まで“世界一”を争っていた2人とは思えない仲睦まじいやりとりを見せた羽生と町田。これからの日本フィギュア界を牽引する2人。
そして2人揃って出場したソチ五輪――結果はご存じの通り、羽生は金メダル、町田は5位とメダルを逃してしまう。
リベンジを誓って挑んだのが、今回の世界選手権だった。SPでは、“町田樹史上最高傑作”と自画自賛するパーフェクトな演技で、転倒した羽生を上回ってみせた。しかも、報道陣の「五輪でこの演技がしたかった?」という質問にも、
「いえ、五輪よりもこの舞台でできたほうがうれしいです。逆じゃなくてよかったと。五輪よりもぼくはこの舞台のほうが好きです(笑い)。本当に舞台と呼べるような氷だったので、そうした中で滑れたのは幸せでした」
と芸術性を重視する町田らしい発言で不敵な笑みを浮かべた。
フリーでも完璧な演技を見せた町田だったが、羽生は五輪王者のプライドを見せ、冒頭の通り、大逆転優勝を果たしたのだった。試合直後、そろってインタビューに応じた2人。敗者となってしまった町田が、
「来年はぼく、これ目指します!」
と言って、羽生の胸に輝く金メダルを指した。
「ぶっ潰しにいきます!」
これまで結果より芸術性を優先させてきた町田が、ついに勝負に対して本気になった瞬間だった。そして、こんなライバルの誕生に羽生もいつもの“ユヅスマイル”で応えた。
2人の「深イイ」ライバル物語はまだまだ続く。
※女性セブン2014年4月17日号