折しも入学・進級シーズン。頭を悩ませるのは、PTAの委員や役員選びだ。さて、以下はよくあるシーン。とある小学6年生のクラスの保護者会。PTA役員のなり手が現れず、膠着状態に。
「子供が低学年のクラスの時2回もやったので、今年は引き受けられません」
「うちは中学受験する予定なので、今年はちょっと――」
「あら、うちの子も受験しますよ」
「くじ引きにしましょうか」
「えー、くじ引き? 来てない人がずるくないですか?」
毎年、多くの学校で、こんな光景が繰り広げられる。
2010年3月にNPO法人教育支援協会が発表した「PTAを活性化するための調査報告書」によると、PTAの委員を引き受けて困ったことの1位が「時間のやりくりが大変だった」、2位が「人間関係が難しかった」、そして3位が「自分の能力がついていかなかった」だった。
不況による共働き家庭の増加や勤務形態の多様化により、PTA活動に参加できない保護者や、“PTA離れ”が進み、活動自体が衰退してしまっている学校もあるという。
小学校でPTA会長を3期務めた経験がある書評家の杉江松恋さんはこう語る。
「そもそも、PTAは任意加入の組織で、自分の子供が通っている学校をよりよくする目的で行われるもの。お世話になっている学校への“ご奉仕”ではありません。
互助会的な組織だからこそ、くじ引きで決めるなどの強制はあってはいけないと思います。やり手がいないなら、一度思い切って組織を休止させたり、無駄な行事を削減するなどの工夫が必要でしょう」
杉江さんは、PTA活動の内容を徹底的に調べ上げ、外部委託できるものは委託して保護者の負担を軽減し、合理的で今日的な運営にした。
「でも、それよりも大変だったのは人間関係でした」
というのが杉江さんの意見。
※女性セブン2014年4月17日号