胡錦濤・前国家主席の息子、胡海峰氏が今年3月下旬、浙江省嘉興市の中国共産党委員会に属する政法委員会トップに就任したことが同市の公式ホームページで確認された。政法委は警察や司法関連部門を統括する部門で、主に党員の不正を追及することが主な仕事で、大きな権力を持つ。父が党トップという“血統”のよさから、さまざまな職務を経験させることで、将来の党幹部に育てるとの意図がありそうだ。
胡氏は1971年11月生まれの42歳。北方交通大学(現在の北京交通大学)コンピュータ科学技術学科を卒業後、清華大学経済管理学院(大学院に相当)でMBAを取得。食糧関連最大手の中糧グループに入社後、母校・清華大学に戻り、党副秘書長などを経て、昨年5月には嘉興市のトップ、同市党委書記の補佐として、農業など経済、厚生、市民団体を担当していることが報じられた。
嘉興市は人口335万人で、市全域が経済開放区に指定されており、進出している海外企業数も600社近くにあることから、経済開発が著しい浙江省のなかでも上級の市と位置づけられている。
胡氏が今年3月、党委書記補佐から一転して、市の政法部門トップに就いたことについて、北京の党幹部は「行政経験1年足らずで、抜擢といえる人事だ。党中央も有望視している証拠だ。今後、よほどの大きな失敗がなければ、トントン拍子に出世し、10年後にはいずれかの省トップに抜擢されることもありうる」と」指摘する。
だが、北京の知識人は「習近平主席も太子党(高級幹部子弟)で、胡海峰氏も典型的な太子党。そういうコネクションがない庶民はいくら努力しても偉くなれず、逆に何の経験もない胡氏のような人物が出世することに、我々庶民は正直に言って実に不愉快だ」と憤りを隠さない。