理化学研究所(理研)は4月1日に最終調査報告書で、STAP細胞が万能性を持っている証拠の画像を小保方晴子ユニットリーダーが「捏造」し、しかも「不正行為は小保方さんひとりで行った」と明言した。だが、理研の報告には研究者からも疑問の声が上がっている。免疫細胞、血液病理学の権威である難波紘二・広島大名誉教授は疑わしい点のひとつをこう述べた。
「理研は3月14日の会見では『悪意がなかったからシロ』といい、それが4月1日には『悪意があったからクロ』という。悪意があったかどうかなんて証明できないでしょう。それも欠席裁判で、彼女に弁明の機会も与えないのはおかしい」
実はこの点は今後、小保方氏が理研を相手に裁判を起こした場合、理研側に不利に働く可能性がある。
「会見では、『悪意は、刑事事件なら故意というところ』とまで言及している。裁判になれば理研側が『悪意』や『捏造』を立証する責任があるが、本人が否認している場合、証明するのは簡単ではない。小保方さんが精神的苦痛を被ったとして名誉毀損を訴えると、逆に理研のほうが苦しい立場に追い込まれる可能性もある」(弁護士の若狭勝氏)
理研は10年前の2004年にも、血小板の研究で画像データの改ざんが発覚したが、研究員2人の辞職で済ませ上層部は責任を逃れた。このとき後に辞職した研究員に「論文不正に積極的に関わったと受け取られかねない表現」をしたと名誉毀損で訴えられ、HP上の表現を削除するなどして和解に至った過去がある。
トカゲの尻尾切りが、窮鼠猫を噛むに転じる……理研はまたしても暗黒史を繰り返すのか。
※週刊ポスト2014年4月18日号