世界的な金融緩和が続いているが、やはり中国のカネ余りのレベルはちょっと桁外れだ。中国の情勢に詳しい拓殖大学教授・富坂聰氏が指摘する。
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わが子を思えばこそ、少しでも良い学校で学ばせたいのが親心。これは中国でも同じである。数年前までは、親がせっせと教師に賄賂を運ぶ現象が社会問題として取り上げられたが、習近平政権下で進められる反腐敗キャンペーンの影響で、最近では賄賂を受け取りたがらない教師が増えているという。
だが、だからといって諦められないのが親でもある。とくにカネが余っている富裕層であればなおのことだ。
事実、ここ数年進学実績の高い優秀な小中学校の学区内に当たる不動産の価格が異様な高騰を続けている。
今年3月22日、北京の夕刊紙『法制晩報』が独自の調査に基づいて掲載した記事によれば、北京市内で最も人気のある学区ではなんと1平米30万元(510万円)にまで値が吊り上っているというのだ。つまり、100平米で5億円を超えるというのだから、いくら進学校だといってもそれを上回るリターンがあるとは思えない驚愕物件である。
だが、不思議なことに人気学区の不動産価格は今年に入って以降もずっと上昇を続けている。しかもわずか1カ月で二桁の伸びを見せた地域もあるのだ。
例えば、東城区西中街小学校の学区の不動産価格は、2月の対前月比で12.5%も伸びているのだ。また同じく朝暘師範学校付属小学校の学区でも対前月比で10.2%、価格が上がっている。
景気の後退懸念を受けてジワジワと不動産価格の下落以降が進む一方で、こうしたことが起きているのだから驚きだ。