国土交通省が「ベビーカーマーク」を公表し、電車やバスの中でベビーカーを折り畳まなくてもよいとしたことに、一部で反発の声があがっている。こうしたベビーカーに対する“批判の急先鋒”になっているのは、実は先輩ママ、つまり中高年のおばさんたちである。
折り畳み式ベビーカーが普及したのは約30年前から。それ以前に子育てをしていた60代前後のおばさま世代は、もっぱらおんぶや抱っこで外出していた。そのせいか、ベビーカーマークを公表した国交省への苦情も、年輩女性からのものが少なくないという。
「若い母親を甘やかし過ぎだという女性からのお叱りがほとんどです。“私たちの時代は苦労した”と子育ての大変さが滲み出ていました」(安心生活政策課)
ただ「抱っこしろ」という意見の裏には、「ベビーカーのおかげで出歩きやすくなり、子育て中といえども着飾っている若いママたちへのやっかみ」があるのではないかという、現役母親世代の意見もある。
乳児の予防接種で朝から混雑した電車に乗らざるを得なかったという40代会社員の母親は、こう反論する。
「首がすわり始めたばかりの乳児を抱えながら、ベビーカーを畳んで必死に乗り込んだ。片手にベビーカーを持ち、子供を抱え上げて踏ん張って立っているのに、前に座ったおばさんは知らん顔。さらには私のヒール靴を見て舌打ち。この後会社に行くから仕方ないのに、思いやりなんてありゃしない。こんな人たちに何だかんだといわれるのが腹立たしい」
派遣社員として働く30代の母親も頷く。
「この国は少子化だと騒ぎながら、子供を産むと本当に育てづらい。それに注意してくるのは、なぜか大体が女性。こちらは十分注意しているのに、“今のママは楽でいいこと。昔はこうだった、ああだった”って話ばかり。あんたの時代とは違うし、手伝ってくれる人もいなくて今だって十分大変なんだって、(喉元を指さして)ここまで出かかりましたよ(苦笑)」
※週刊ポスト2014年4月18日号