「65歳定年」が導入された今、1947~1949年に生まれた「団塊」という世代は、2014年4月で全員リタイアすることになる。しかし定年などどこ吹く風で権力をほしいままにするのが政治家たち。強烈な自己顕示欲、俺が正しいという思い込み、権力好き……それらが“団塊の特徴”だというと反発が起きるかもしれないが、「団塊政治家」の名前を挙げると、苦々しくも頷いてしまう団塊世代も多いのでは。
代表格は菅直人・元首相(1946年生まれ)、“影の首相”と呼ばれた仙谷由人・元官房長官(1946年)、舛添要一・東京都知事(1948年)。ちなみに猪瀬直樹・前東京都知事(1946年)も団塊政治家にカテゴライズされる。ちなみに自民党には大島理森・前副総裁(1946年)や菅義偉・官房長官(1948年)がいるが、いわゆる「指導者タイプ」は見当たらない。戦前生まれの焼け跡世代で、政界の生き字引と呼ばれる平野貞夫・元参院議員(1935年)が語る。
「幼少時代に食料難を経験した団塊世代で、最も優秀な層は豊かな生活を目指して商売の道に進み、次に優秀な層は官僚になった。この世代は学生運動が盛んで、運動にのめり込んで就職できなかった層が、弁護士や市民活動を経て政治の道に進んだ。だから、反自民の政党に入る人が多かった」
菅氏や仙谷氏はまさにそのケース。そして、彼らの指導者としての失敗は「権力のために簡単に筋を曲げた」ことにあった。鳩山政権で財務相を務めた菅氏は、“自分より優秀な層”の官僚に懐柔され、鳩山退陣後にはマニフェストを反故にして、官房長官の仙谷氏とともに「消費増税」を掲げた。
「財務省に味方してもらうことが権力を維持する近道だと考えたのでしょう。だが、消費増税を掲げた参院選では大敗した。すると、今度はマニフェスト回帰を求める反執行部派を排除するために党内抗争を仕掛けていった」(平野氏)
自民党出身の舛添氏にも同様の権力志向が見える。第1次安倍内閣などで厚労相を務めるも、自民党が下野すると離党し、民主党に接近した。それが再び自民党が政権に復帰するや、今度は自民党の支援を受けて今年2月の都知事選に出馬し、知事の座を射止めた。
もちろん権力志向は政治家に必要な資質だ。しかし、権力の獲得や維持は、あくまで政策を実行するための手段のはずだ。民主党政権下で菅氏らに仕えたポスト団塊世代の代議士が語る。
「菅さんは野党時代には社会保障分野などでいい政策を掲げていた。そのうち一つでも実行すれば国民から評価されたはずなのに、何一つやろうとしなかった。野党時代の舌鋒の鋭さは、自分の存在感を示したいだけだったのではないか」
※週刊ポスト2014年4月18日号