いまや空前の「糖質制限」ブームである。世界ではさまざまな研究結果によって、糖質制限がもっともダイエット効果が高いことがわかっており、従来はカロリー制限が主流だった糖尿病治療でも、糖質制限が有効だとの研究結果が出ている。
最近では、北里大学北里研究所病院糖尿病センターの研究チームが、日本人の2型糖尿病患者を対象に食事療法の比較研究を行ない、「日本人にも糖質制限が有効だ」との論文を出した。
だが、糖質制限は効果が高い分、リバウンドが大きいというデメリットがある。また、糖質制限は、炭水化物を取らない代わりに肉などの摂取量が増え、高タンパク質食になることの弊害もある。
米学術誌『セル・メタボリズム』3月号には、南カリフォルニア大学長寿研究所の研究として、65歳以下の中年期に肉や、牛乳、チーズなどの動物性タンパク質の摂取量が多いと、摂取量が少ない人に比べて死亡率が75%増加し、がんで死ぬリスクが4倍になるという衝撃の結果が報告された。
『アンチエイジング・バトル最終決着』(朝日新書)という話題書を上梓した坪田一男・慶應義塾大学医学部教授(日本抗加齢医学会の理事長)は、こう結論づける。
「糖質も脂質も食べ過ぎはダメだが、減らし過ぎもよくないということです。
最近の研究では、糖質をとらないと血液中の造血幹細胞が減ってしまうこともわかっていて、これは血管の老化を促進する。
脂質も控え目がいいが、脂質のなかにも『オメガ(ω)3系脂肪酸』という、体のなかでつくられない必須脂肪酸が含まれているので、完全に絶つわけにはいきません。
これまで一般的には、カロリー摂取の割合は糖質:タンパク質:脂質=6:2:2がいいといわれてきたが、私はもう少し糖質を抑えて、4:3:3がいいと考えます。
急なダイエットは体が『飢餓だ』と勘違いして脂肪を蓄えようとするので逆効果になる恐れもある。1か月に1kg以上痩せるのは好ましくなく、ゆっくり気長にやるべきです」
※週刊ポスト2014年4月18日号