ビジネス

欧州中心に人気の車種 高いデザイン性支える粘土モデルづくり

ヨーロッパを中心に人気の車種『アクセラ』のクレイモデル

 PCで設計したものをそのまま形にできる技術が、急速に普及している。特に3DCADや3DCGデータを元に、短時間で3次元の立体模型を作成できる3Dプリンターは、ここ数年で特許が次々と切れたことで低価格化。1台数百万円だったものが、数万円~数十万円で購入できるようになり、中小企業や家庭でも導入が進んでいる。

 一方で、冬季オリンピックで注目されドラマにもなった、東京都大田区の町工場が挑んだ「下町ボブスレー」など、日本人ならでは繊細な手作業への注目も高まっている。こうした “ザ・ニッポンのモノづくり”に大企業でありながらこだわり続けることで、世界でも高い評価を得ている業界のひとつが、自動車メーカー。そのモノづくりの現場を取材した。

「“ここにあと、これくらい盛ってみよう!”と、その場で意見を出し合って、すぐ手直しができる、全体の微妙な表情の判断がしやすいなど、PCで作るデータや3Dプリンターではかなわないメリットが、クレイにはたくさんあります」と語るのは、マツダ デザイン本部のクレイモデラーである助川裕さんだ。

 クレイモデラーとは、デザイナーが描いたデザインスケッチを手作業によってクレイ(粘土)の立体モデルにしていく仕事で、工業デザインの世界では重要な役割を担っている。一般的に自動車メーカーでは1/4サイズ、1/1サイズなどのクレイモデルを造って開発を進めていくが、特にマツダの場合、開発全体の中でクレイモデルに関わる時間が、非常に長いのだという。開発拠点が世界中に広がり、スピードも要求される中、手作業のクレイモデルにこだわることで効率性は損なわれないのだろうか?

「デザイナーとクレイモデラーのバトンリレーではなく、一緒にクレイを見ながら、ここはおかしい! ここはいい! とディスカッションしながら、どんどん作り直せるのはクレイならではで、スピードも意識共有も大きいんです。また、クルマが本来もっとも美しく見える自然光の中での表情をチェックするため、クレイモデルを屋上に持ちだして全員で検討するといったことも、クレイなら当たり前のようにできます。

 そうして各国の拠点で練り上げられたクレイモデルを持ちよってコンペティションを行い、さらに絞り込み、研ぎ澄ましていく。効率が悪いと感じたことはありませんし、効率以上のメリットがクレイには大きいと思っています。」(助川さん)

関連記事

トピックス

初めて沖縄を訪問される愛子さま(2025年3月、神奈川・横浜市。撮影/JMPA)
【愛子さま、6月に初めての沖縄訪問】両陛下と宿泊を伴う公務での地方訪問は初 上皇ご夫妻が大事にされた“沖縄へ寄り添う姿勢”を令和に継承 
女性セブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン
松永拓也さん、真菜さん、莉子ちゃん。家族3人が笑顔で過ごしていた日々は戻らない。
【七回忌インタビュー】池袋暴走事故遺族・松永拓也さん。「3人で住んでいた部屋を改装し一歩ずつ」事故から6年経った現在地
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で天皇皇后両陛下を出迎えた女優の藤原紀香(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA)
《天皇皇后両陛下を出迎え》藤原紀香、万博での白ワイドパンツ&着物スタイルで見せた「梨園の妻」としての凜とした姿 
NEWSポストセブン
ピーター・ナバロ大統領上級顧問の動向にも注目が集まる(Getty Images)
トランプ関税の理論的支柱・ナバロ上級顧問 「中国は不公正な貿易で世界の製造業を支配、その背後にはウォール街」という“シンプルな陰謀論”で支持を集める
週刊ポスト
“極度の肥満”であるマイケル・タンジ死刑囚のが執行された(米フロリダ州矯正局HPより)
《肥満を理由に死刑執行停止を要求》「骨付き豚肉、ベーコン、アイス…」ついに執行されたマイケル・タンジ死刑囚の“最期の晩餐”と“今際のことば”【米国で進む執行】
NEWSポストセブン
石川県の被災地で「沈金」をご体験された佳子さま(2025年4月、石川県・輪島市。撮影/JMPA)
《インナーの胸元にはフリルで”甘さ”も》佳子さま、色味を抑えたシックなパンツスーツで石川県の被災地で「沈金」をご体験 
NEWSポストセブン
何が彼女を変えてしまったのか(Getty Images)
【広末涼子の歯車を狂わせた“芸能界の欲”】心身ともに疲弊した早大進学騒動、本来の自分ではなかった優等生イメージ、26年連れ添った事務所との別れ…広末ひとりの問題だったのか
週刊ポスト
2023年1月に放送スタートした「ぽかぽか」(オフィシャルサイトより)
フジテレビ『ぽかぽか』人気アイドルの大阪万博ライブが「開催中止」 番組で毎日特集していたのに…“まさか”の事態に現場はショック
NEWSポストセブン
豊昇龍(撮影/JMPA)
師匠・立浪親方が語る横綱・豊昇龍「タトゥー男とどんちゃん騒ぎ」報道の真相 「相手が反社でないことは確認済み」「親しい後援者との二次会で感謝の気持ち示したのだろう」
NEWSポストセブン
「日本国際賞」の授賞式に出席された天皇皇后両陛下 (2025年4月、撮影/JMPA)
《精力的なご公務が続く》皇后雅子さまが見せられた晴れやかな笑顔 お気に入りカラーのブルーのドレスで華やかに
NEWSポストセブン
真美子さんと大谷(AP/アフロ、日刊スポーツ/アフロ)
《大谷翔平が見せる妻への気遣い》妊娠中の真美子さんが「ロングスカート」「ゆったりパンツ」を封印して取り入れた“新ファッション”
NEWSポストセブン