昨年、生死の境をさまよった末に奇跡の生還を果たした中村うさぎさん(56才)。実はこの3月、心肺停止の危険があるとの診断から再入院をしていた。あらためて、日々、死と向き合うことになった彼女は、これからどう生きるか思いを巡らした。中村さんがその心境を綴る。
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このたび、2度目の入院からめでたく退院を果たした私である。心配してくださってた皆さん、ありがとうございました。相変わらず車椅子生活だけど、何とか生きてます。
去年の8月、私は東京医科大学病院の神経内科の患者として入院し、その3か月の入院の間に3回も死にかけるという自分でも信じられないような経験をした。
1回目は心肺停止して本当に10分くらい死に、後の2回は呼吸停止したものの心肺停止にまでは至らなかった。が、あのまま心肺が停止して死んでいてもおかしくなかったと思う。
それ以来、私は「死」というものに対するスタンスが変わった。どうせいつかは死ぬんだ、と、強く実感したからである(実際、死んだしな)。一度死んでみてわかったけど、死ぬことなんか、たいして怖くない。それまでの全身の苦痛からフッと解放されて、かえってラクになったくらいだ。
死ぬのが怖くなくなったら、あとは残された人生をどう生きるか、考えなきゃいけない。そっちのほうが、よっぽど重要だ。いかに死を回避するかではなく、限られた人生をいかに生きるか、という問題。私はそれを真剣に考えるようになり、ひとつの結論を出したのであった。
どうせ死ぬなら、死ぬ前に書いておきたいことがある。今後は読者への遺言のつもりでエッセイを書く。だから、命より仕事を優先する。私にはもう時間がないのだ。この考え方は、世間の皆さんには理解しづらいことと思う。そんなこと言わないで生きててください、命あっての物種でしょう、と、たいていの人に言われる。だが、私がどう生きるかは、私が決めることなのである。なぜなら、これは私の人生だから。
※女性セブン2014年4月24日号