近年、獣医料の高度化が進んでおり、飼い主と愛犬にとって嬉しい環境が整いつつあるが、そうなると心配になってくるのが医療費だ。
獣医療の診療料金は、エリアや病院、獣医師によってかなり違う。例えば、脳腫瘍の摘出手術だと、50万~100万円。椎間板ヘルニアの手術だと、20万~50万円といった高額な医療費がかかることもある。
さらにペットは人間と違い、支払い窓口では自費での全額支払いが基本。そんなとき、飼い主の金銭的な不安を安心に変えてくれるのがペット保険である。
ペット保険とはどのようなもので、各社がどんな保険を取り扱っているのか。自身もワンちゃんを2匹飼っているというファイナンシャルプランナーの和田雅彦氏に訊いた。
「通院から手術まで、ペットにかかる医療費を補償してくれるのがペット保険です。最近では、50%や70%など、かかった医療費のうち一定の割合を補償してくれる『定率補償』が圧倒的に多い。商品の比較はしやすくなってきていると思います」
人間の生命保険でも同じだが、給付が手厚ければそれだけ保険料も高くなる。また会社によって、手術の回数や、補償内容がそれぞれ異なるため、どれを選択するのかは、飼い主の価値観によって変わってくる。
「例えば年齢が高くなると入れない商品もあるので、自分の飼われている犬の状況を見ながら決める必要があります」(和田氏)
ペット保険最大手・アニコムの『どうぶつ健保ふぁみりぃ』は、プランによって通院から手術までの医療費が補償されるが、手術は年間2回までと、制限がある。アクサ損害保険の『いぬのきもち』であれば通院・入院・手術まで、請求回数に制限はないが、支払われる金額の上限が決まっている。
「例えば治療費が30万円かかる場合、『プラン50』でしたら50%の15万円がお支払いされます。『プラン70』でしたら70%の21万です。ただ、支払い限度額があり、上限はそれぞれ50万、70万となっています」(アクサ損害保険株式会社広報)
このように、上限や回数など各社細かく違いがあるが、掛け金はだいたい月に2000~3000円程度。1年で2万~3万円程度の出費となる。生涯払い続けると高額になるが、ペット保険は、その特性から“病気のリスクの高い時期だけ加入する”ことも可能である。前出・和田氏も、飼い始めた犬が1歳になるまで加入し、その後は更新しなかったと語る。
「ペット保険は基本的に1年更新。必要ないと考えれば更新しなくてもいいわけです。1歳になるまでは、どうしても病気やケガのリスクが高いのと、2匹飼うことで不安もあったので、私は1歳の時だけ入りました。
8歳ぐらいになったら高齢になってくるので、また入るという考え方もありますね。ただ、加入年齢の上限や条件によっては入れない場合もあるので、注意が必要です」
※週刊ポスト2014年4月18日号