1000万人を超えるといわれる日本のED(勃起不全)患者にとって、セックスを愉しむための「頼みの綱」がED治療薬だ。
なかでも1998年にファイザーがアメリカで販売を開始し、1999年に日本で初めて承認・発売されたバイアグラは、300万人が愛用しているといわれている。
しかし、その価格は1錠1500円(50mg、都内のクリニック)と、決して安くはない。妻とのセックスを週に3回愉しみたいED患者は、月に約2万円の出費を覚悟しなければならない。
しかし、このバイアグラと「まったく同じ有効成分」の薬が格安で販売されるとなれば、誰しも「自分も試してみたい」と考えるに違いない。そんな“福音”がこの夏にも訪れるという。“ジェネリックバイアグラ”の登場である。
ED治療を手がける浜松町第一クリニックの竹越昭彦院長が解説する。
「日本で最初に発売された新薬(先発薬)には特許があり、特許期間中は同じ有効成分で同じ効き目の薬品を製造することはできません。しかしその期間が満了すると、他の医薬品メーカーから同じ有効成分で同じ効き目のジェネリック医薬品(後発薬)を発売できる。
ジェネリックはその成分・品質が新薬と同等であることを証明すればよいため、開発費用が安く済み、低価格で販売することができるのです。一般的にジェネリック薬は新薬に比べ40~80%ほど低価格で処方されています」
国内で“ジェネリックバイアグラ”が登場するには、主成分シルデナフィルに対して与えられる「物質特許」と、ED治療という「用途特許」の2つが期間満了になる必要がある。
竹越院長によれば、物質特許は2013年5月17日に満了になっており、用途特許は今年5月13日に満了になるという。つまり、早ければ5月14日以降に登場するが、現状では8月頃までずれ込むと見られている。
「ED治療薬は保険適用外のため、製薬メーカーが自由に薬価を決められます。現在、日本のメーカー数社がバイアグラのジェネリック薬を発売すると噂されていますが、いち早く発売価格を公表してしまうと、他社がより安い価格を設定できるため、各社が駆け引きをしているようです」(竹越院長)
“ジェネリックバイアグラ”の発売が噂されている国内5社に取材したところ、一様に「ノーコメント」と回答。ある社の広報は匿名を条件にこう明かした。
「発売に向けてすでに厚労省に申請を出している。まだ承認を得ていないので時期は確定していないが、夏までの発売を目指している」
※週刊ポスト2014年4月18日号