人は誰もさまざまな励ましや叱りの声を聞いて成長する。アナウンサー生活25年で心に留められた言葉と、そのときの心境を率直に綴った『その気持ちを伝えるために』(文藝春秋)を上梓した八木亜希子さん(48才)。
今から26年前の4月、フジテレビにアナウンサーとして入社した八木さんが、「花の三人娘」と称された同期入社の有賀さつきさん、のちに横綱・貴乃花夫人となった河野景子さんについて語った。
「3人で先輩アナウンサーを訪問して、おそるおそる聞いたことがあるんです。“新人へのいじめとかないんですか”って。そしたら間髪入れずに、“あのね、みんな忙しすぎて、そんな暇はないの” と一蹴されました(笑い)」(八木さん・以下「」内同)
「何かあったときは3人で守り合おうね」とまで誓いあっていたが、その言葉にほっとすると同時に、先輩の颯爽としたもの言いが「かっこいいなあ」と強く印象に残った。
「実際に仕事が始まってから、その意味がわかりました。アナウンサーにとっての戦場は、外なんですね。所属するアナウンス室にずっといるわけではなくて、室外の番組で仕事をしているのですから。しかも、アナウンサーというのは基本1番組に1人ですから、すべて自分で考えてやっていかなければならないんです。アナウンス室にいるときは先輩に学んだり、教えを請う時間であって、いじめるとかいじめられるとか、そんなことはありえない。他人を気にしている時間はないんです」
彼女たちが入社する何年か前から女子アナブームが起こり、テレビで活躍する才色兼備の女子アナたちは、なにかにつけてタレント以上に注目の的になっていた。
「花の三人娘」であればこそ、嫉妬心やライバル心もあるのでは、と勘ぐるが、
「周囲の人にもよく言われましたけど、3人とも性格がまったく違うんです。景子は石橋を叩いて渡るタイプ、私は叩いて叩いて、ときどきは壊してしまうタイプ、さつきはとにかく大胆で、それが石かどうかも見極めないで、ポーンと渡っていくタイプ。だから、お互いに刺激になることはあっても、ライバルだなんて考えたことはないです」。
※女性セブン2014年4月24日号