3人の子を持つ石黒彩(35才)は、日々子供に「話し方」「聞き方」をどう教えたらいいか、不安に思うこともあるという。そこで子供の会話力を養うためにはどうしたらいいか、今すぐ始めたい実践法を『わが子に伝える『話し方』の技術』の著者で、話し方研究所会長の福田健さんに訊いた。
福田:新入社員研修などを任される機会が多いのですが、今の若いかたたちは「挨拶ができない」し、「自分から相談しない」ですね。私が話していても反応が薄いので、話を聞いてないのかな?と思うけれど、実際は聞いている。休憩時間になると、同期同士では楽しそうにしゃべっているんですけどね。
彼らは、いわば“コミュニケーション未熟児”。子供のころに大人や初対面の人との話し方・聞き方を身につけないまま社会人になったため、そうした会話に慣れていない。石黒さんのお子さんはどうですか?
石黒:うちは3人とも、同じ親から生まれたと思えないくらい性格がバラバラで。いちばん上の長女(13才)はおっとりしていて恥ずかしがり屋。幼い頃、主人の仕事仲間との食事会に連れて行ったら、テーブルの下に隠れて手だけを出して食べていたほど(笑い)。真ん中の次女(11才)は性格が私とそっくりでおしゃべり! 末の長男(9才)は、上のふたりの中間という感じですね。
福田:お子さんの話し方で、気になることはありますか。
石黒:実は子供より、自分のほうが気になります(苦笑)。19才で芸能界に入って22才で出産したんですが、きちんとした言葉遣いを知らないまま大人になってしまったんじゃないかと…。
でも全体的に、きちんと話せない大人が増えている気がします。北海道から上京したての時、地下鉄で大人が“降ります”とも言わずに、無言で人をかき分けて降りていく状態に本当に驚きました。ひと言言ってくれたら避けるのにって。
福田:そういう親を見ていると“挨拶しなくていいのか”って子供も思っちゃう。小1~小6くらいまでの間に、知らない人と話す経験を重ねるとコミュニケーション能力が身につくのですが、挨拶は、そのコミュニケーションの基本なんですよね。
石黒:都会ならではの警戒心なんでしょうけど…。
福田:でもそこで「ありがとうございます」とか「失礼します」と言われると、イライラがすっと消えることもあるじゃないですか。先んじて挨拶をすると、相手の心がつかめるんですよ。それには日頃から挨拶を習慣にしておくことが大事。親が率先して挨拶するといいでしょうね。
※女性セブン2014年4月24日号