中国では毎年3月中旬から1か月間が日本の「彼岸」に当たる「清明節」で、墓参りをするなど故人を偲ぶ行事が中国各地で催された。中国共産党中央弁公庁と中国政府は昨年12月、全国の党・政府幹部に対して、「華美な追悼行事を行なってはならない」とか、「幹部の墓は1平方メートル以下にせよ」などと命じていたことが分かった。党機関紙「人民日報」(電子版)が報じた。
党中央弁公庁や政府が発した通達は「党員幹部の葬儀の改革に関する意見」と題するもの。今年の清明節は3月15日から4月15日までで、その3か月以上も前に、葬儀や追悼会などに関する通達を出すのは、全国的に葬儀などが華美になっていることを示している。
折しも、習近平国家主席が最高指導者に就任して以来、贅沢を禁止する節約令が出ている中で、党中央も鵜の目鷹の目で、党員の“規律違反”を見張っており、今回は清明節などの冠婚葬祭にまで、規制が及んでいるようだ。
特に、中国では墓地の不足が深刻で、「北京では1平方m当たり最も安くても40万元(約680万円)」(法制日報)と伝えられているほどだ。
このため、通達では「党幹部の墓は1平方mを超えてはならない」と明記されているほか、党幹部が亡くなっても親族が集まる葬儀は別として、一般の人々が出席しての追悼会を開いてはならないとまで禁止事項が細かく記載されている。
このほか、通達では葬儀はすべて火葬にすべきで、土葬などの古い慣習を復活させてはならないとしており、中国各地で土葬が行なわれていることを示唆している。土葬の場合、火葬よりも墓の面積が多くなり、その分、土地が必要となり、地価の上昇に拍車をかけるという懸念がある。
このため、各地方政府は必ずしも墓が必要ではない「樹木葬」や「花葬」、海に骨をまく「海葬(散骨葬)」などを推奨しているほどだ。