昨年9月、20~50代の首都圏在住の有職者400人に実施した調査(『血めぐり研究会 supported by Kao』)によると、43%が常に目の疲れを感じ、その95.8%が原因としてパソコン作業を挙げている。今やオフィスワーカーに限らず、主婦から子供までパソコンやスマホに夢中になる時代。“慢性的な目の疲れ”はもう国民病になりつつある。
眼精疲労研究の第一人者で、後藤眼科医院の後藤英樹院長も「特にここ数年、目を酷使することによりピントの調整力が低下し、一日の終わりになると老眼のような症状になる“夕方老眼”を訴える患者さんが急増しています」と語る。
「元来、人の目は遠くの獲物や危険を見つけられるよう、広い視野をぼんやり見るようにできています。近くに焦点を合わせるためには毛様体筋という筋肉を使ってレンズの役割の水晶体に厚みを持たせます。
また明るい場所では目に入る光量を抑えるため、虹彩筋を使って瞳孔を絞る。強い光が目に注がれるスマホを凝視するには、これらの目の筋肉をフル稼働させる必要があるのです」(後藤院長、以下「」内同じ)
しかし、目の筋肉過労を自覚することはなかなか難しい。
「そうして日常的な目の筋肉疲労が限界に達して動きが悪くなると、ピントが合いづらくなり、一時的な“老眼”のようになるわけです。また最近では、落としきれないアイメイクが、眼球のうるおい成分を分泌するマイボーム腺をふさいで起こる“新型ドライアイ”も増え、夕方老眼を助長しています」
そもそも老眼とはどんなものなのだろうか。
「加齢により水晶体自体の弾力性が失われ、手元にピントが合わなくなる老視(老眼)は、残念ながら避けられません。“夕方老眼”は30代後半~40代後半に表れる症状で、パソコンなどの使用を抑えたり、目のケアを行って休ませれば改善しますが、改善しないならメガネやコンタクトレンズでの視力矯正を。見えづらい状態を我慢していると、老眼が進んでしまいます。また、白内障などの病気が隠れている場合もありますので、症状が続くときは専門医の受診をおすすめします」
※女性セブン2014年4月24日号