アナウンサー生活25年で心に留められた言葉と、そのときの心境を率直に綴った『その気持ちを伝えるために』(文藝春秋、1404円)を上梓した元フジテレビアナウンサーの八木亜希子(48才)さん。本業のほかに、女優としても活躍している。最初は、三谷幸喜から「映画に出ませんか」と出演依頼を受けたことに始まる。フリーになってすぐの出来事。最初の依頼の電話はアナウンサーとしての仕事の依頼よりも前のことだった。
「びっくりした、の一言に尽きますが、何か新しい仕事にかかわってみたいと思っていたときでしたから、そんなチャンスをいただき、本当にありがたかったです」(八木さん、以下「」内同じ)
昨年は『あまちゃん』(NHK)にも出演。元アナウンサーの主婦、足立よしえ役を演じた。
「ドラマの中で違う人物になれるのは面白いことで楽しかったんですけど、“よしえさん役はどうでしたか?”と聞かれると、今でもつらかったよしえさんの気持ちがよみがえってきちゃうんです。思い出すと涙が出るくらい…。よしえさんはドラマの中のダークサイドの部分。失踪したり、子供たちから罵倒されたり、つらいお母さんでしたから」
それまでのはつらつとした表情が曇った。
「でも、俳優とアナウンサー、表現の仕方は違うけれど、人の気持ちに寄り添っていくということは同じだと思い、学ぶことはたくさんありました。事実を伝えるだけのアナウンサーでも、相手の気持ちになること、想像力を巡らせて考えて向き合っていくことの大切さは変わりません。役に入っていくときの、俳優さんの集中力というんでしょうか、“本番”の声と同時に深くその人物になっていく姿を目の当たりにしたことも、勉強になりましたね」
家庭ではごく普通の主婦だ。ご主人は大学の同級生。
「いいかげんな奥さまです(笑い)。でも、優秀賞は無理でも努力賞ぐらいは自分にあげられるかな。だんなさんは自立してて、家事もよく手伝ってもらえるんです。ずいぶん助けていただいて、料理はふたりで優秀賞、かな」
※女性セブン2014年4月24日号