日本相撲協会は、九重親方(元横綱・千代の富士)を監察委員に就任させた。一時は次期理事長の筆頭とまでいわれた親方にとっては、理事、副理事、役員体位遇をも飛び越す「3階級降格」である。
おまけに、九重親方には我慢ならない屈辱の日々が待っている。
「監察委員は場所中の取り組みの内容を一番一番チェックして、打ち出し後に責任者である監察委員長に報告しに行かなければならない。つまり九重さんが、(41歳で最年少理事に選ばれた)貴乃花監察委員長へ“本日も無気力相撲(八百長)はありませんでした”と報告申し上げる立場になったわけです。昨日までの部下がいきなり上司になってしまったうえに、よりにもよってこの2人ですからね……」(角界関係者)
千代の富士と貴乃花といえば、何といっても「あの一番」──1991年5月場所初日の初対戦が思い出される。
ちょうどこの1年前に、17歳で初入幕を果たした貴花田(当時)は、最年少記録を次々と塗り替えながら昇進を続けていた。3月場所では初日からの11連勝を含め、初優勝寸前の活躍で西前頭筆頭に躍り出、この日、千代の富士への初挑戦に臨んだのだった。
優勝回数31回を誇る大横綱との立ち合い。貴花田は横綱が得意とする前まわしを許さず、左の押っつけからまわしを掴んで一気に寄り切り完勝。座布団が乱舞する中、千代の富士は引退を決意したといわれている(発表は3日目の取組後)。
「思い返せば、貴花田の父・貴ノ花に引導を渡したのが千代の富士でした(1980年11月場所)。このように、この両者の間にはどうも因縁めいた出来事が続きますね。しかしながら今回の人事に関しては、“いくらなんでもやりすぎだ”、“報復人事なのではないか”とまでいわれています」(相撲ジャーナリスト)
※週刊ポスト2014年4月25日号