メジャーデビュー後、評価を高めているニューヨーク・ヤンキースの田中将大。先輩の日本人大リーガーたちから様々なアドバイスをされているだろうが、ヤンキースが本拠地を置く大都会・ニューヨークならではの事情も心得ておく必要がある。メジャーに詳しいジャーナリスト、福島良一氏が語る。
「ニューヨークは19世紀後半から20世紀初頭にかけて、ニューヨーク・ジャイアンツやブルックリン・ドジャース、そしてヤンキースが誕生するなど“野球の首都”といわれるほど長い歴史を誇ります。そのため、どこよりもファンが熱狂的で、NYタイムズを筆頭に地元メディアも数多い。チームや選手が不振だと容赦ないブーイングを浴びせるのがニューヨーカーです」
メジャーにFA制度が導入された1976年以降、ヤンキースが大物選手を札束で引っ張るようになると、ファンやメディアの視線はさらに厳しくなった。日本人史上最高額の7年1億5000万ドルで入団した田中には、一層厳しい目が向けられることは間違いない。
日本のスポーツメディアは「御用記者」化してしまっている現状があるため、あまり批判記事を書かない。
しかしニューヨークはそうはいかない。とかく辛辣で、好不調で記事の落差が大きい。現役時代の松井秀喜も「ゴロキング」とこき下ろされ、阪神から30億円で移籍しながら2勝で終わった井川慶については、未だに“最も悲劇的な失敗例”として報道される。
「メジャーでは、あまりにも叩かれるために耳栓をしてプレーしていた人もいます。ヤンキースとなると、そのレベルも半端ではありません」(福島氏)
メディアの批判を受け止める強い心が必要だ。
※週刊ポスト2014年4月25日号