4月3日、日本相撲協会は九重親方(元横綱・千代の富士)を「監察委員」とした。九重親方は協会ナンバー2から、一気に一介の「委員」へと降格された。
委員の立場では、協会の意思決定機関である理事会に参加できない。過去には、理事経験者は選挙で落選しても、理事会参加資格を持つ「役員待遇」で収まるケースがあったが、九重親方はこれまで持っていた協会内での発言権を剥奪されたのである。
さらに、九重親方が与えられた職務が、監察委員であることもポイント。
監察委員の“守備範囲”は土俵の監視だけだ。協会の運営を担う執行部(理事長をトップに、事業部、広報部、総合企画部で構成)との距離は、審判部や巡業部、地方場所担当と比べても遠く、「執行部が何をやっているかわからない、隔離されているような部署」(古参親方)なのである。
また監察委員は、国技館の天井に近い隅の部屋に陣取って、土俵の一番一番をチェックするのが仕事だが、これが非常に単調な作業であるためか、集中力がなかなか続かないらしい。かつて高砂親方(元大関・朝潮)が監察業務中にマンガを読んでいたことが発覚し、協会から注意を受けたことがあった。
「他にも競馬の予想をしていたと指摘された親方もいる。九重親方もこれと同じ轍を踏むのではないかといわれています。というのも、彼はいま数字パズル、いわゆる『ナンプレ』にハマっていて、最近も協会の部屋で没頭している姿が見かけられている。ある親方は、“万が一やっちゃったらさらに降格。このスキャンダルまで見越しての嫌がらせ人事じゃないか”と心配する声まで出ています」(角界関係者)
※週刊ポスト2014年4月25日号