人口が多い世代である団塊世代(1947~1949年生まれ)は、何かと他の世代から非難されることが多い。そのなかに年金制度崩壊を招いたというお決まりの批判がある。団塊世代の大量退職で、現役世代には「1人約1000万円」の年金債務が残されたからだ。長い間、日本社会の中核を担ってきたと自負する団塊世代は、リタイアした途端に「不良債権」と呼ばれていることが到底納得できないようだ。
「年金制度の破綻は少子化が原因。私たちの世代はみんな子供を生んで第2次ベビーブームを起こしたではないか。日本社会の人口構造を変えたのは私たちではなく、次の世代が子供を生まないからこうなった。批判されるべきは、少子化を招くような制度や社会をつくった政治や行政でしょう」(1949年生まれ・元会社員)
1948年生まれのファイナンシャルプランナー・熊本秀樹氏もこう指摘する。
「年金積立金は現在約120兆円あるが、これは団塊世代が中心になって積み立ててきたカネです。私たちは後の世代には迷惑をかけたくないと考えているが、自分たちが一生懸命払ってきた分を返してもらいたいと考える人は多い」
団塊世代のサラリーマンの出世競争を描いた人気漫画『課長 島耕作』シリーズの作者・弘兼憲史氏(1947年生まれ)は、「年金をもらわない覚悟がある」と語る。
「年金制度を支えてきた団塊世代が支えられる側に回ったことで負の遺産とか呼ばれていますが、だったら資産を持っている高齢者にお金を払わなきゃいいんです。僕たちの世代は上の世代より年金額が減らされ、支給開始年齢も引き上げられてきた。損な役回りですが、僕自身は今も収入があるから年金はもらわない。
高齢化社会のコストをまかなうために所得のない人間からも徴収する消費税が上がるけど、たとえ25%になっても自分たちの分は負担する心づもりがあります。団塊世代で、今も現役で収入がある人は僕と同じように年金はもらうべきではないという考え方の人が多い。自分たちのことは自分で面倒見る。それが団塊世代なんです」
※週刊ポスト2014年4月25日号