4月11日、多臓器不全のために亡くなったラーメンの鬼・佐野実さん(享年63)。その妻・しおりさんが、夫の最期の様子をこう話してくれた。
「“1にラーメン、2にラーメン、3、4が酒で、5に女房”。いつもそんなことを言っていました。亡くなる2日前、私たちが聞いた最後の言葉も“ラーメン食べたい”です。本当に、ラーメンと一緒に歩んだ人生でした。“女房”はラーメンより下だけど、人間の中では1番だからそれでいいかな、って…」
佐野さんの右腕として長年、彼を支えた『支那そばや』の宮本智専務はこう話す。
「特に気にしていたのは麺のことでした。自家製麺は、気温や湿度によって、毎日水を加える量が違うんです。“麺はうまく作れているか?”“店は大丈夫か”と見舞いに行くたびに聞かれました。“次はこんなレシピでいくぞ”と新しいメニューを考えたりもしていましたね。やせて弱々しくなってしまっていても、ラーメンの話をしている時だけは、目の奥に力がこもるんです」
病床でも佐野さんは、“ラーメンを食べたい”と言い続けていた。そこで、しおりさんは4月4日の佐野さんの誕生日にこんなプレゼントを用意した。
「病室に材料を持ち込んで、IHのコンロを使って、宮本さんにラーメンを作ってもらったんです。塩分を控えないといけないので少し薄めにしたんですが、スープをすすって一言、“薄いな~。まずいよ”って。 “いつもこんな味のラーメンを店で出しているのか”って怒り出しちゃいました」(しおりさん)
※女性セブン2014年5月1日