涙にはストレス解消の効果があるという──。今回は、35才の主婦Aさんが、愛犬に関する涙のエピソードを紹介します。
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私がまだ新入社員だった頃、パピヨンに似たミックスの子犬が、職場近くの公園に住みついていました。捨て犬なのか首輪はしておらず、毎日パンなどをあげているうちになつくようになりました。
そのうちに犬がお腹を下しているのに気づき、与えた餌のせいかと慌てて動物病院へ。結果、栄養失調と寄生虫の影響と判明。治療をしてもらい、覚悟を決めてその子を飼うことにしました。ペットOKのマンションに引っ越し、ソラと名づけて、同じベッドで眠るほど仲よく暮らしました。
7年ほどが経って結婚し、赤ちゃんが生まれました。ソラを子供部屋に入れないようにしていたのですが、ある時、ちょっと目を離したすきにソラが赤ちゃんの部屋に入り、顔に噛みついたのです。幸い出血もなく大した傷ではなかったのですが、驚いた私はソラの顔を叩いて大声で叱ってしまいました。
するとソラは、私に脅えるようになってしまったのです。一気にソラとの信頼関係が失われたようでした。叩いたのは悪かったと思いながらも、赤ちゃんがまた噛まれると困るので、しばらくソラを実家に預けることに…。
数日後、取り乱した親から電話がかかってきました。散歩の途中でうっかりリードを放してしまい、車道に飛び出したソラが車に轢かれて死んでしまったというのです。すぐに駆けつけると、ソラは変わりはてた姿になっていました。「散歩のたびに、あなたの家の方に行こうと、私たちをグイグイ引っ張っていたんだよ」と母が教えてくれました。
夫よりも長い時間を過ごしていたパートナーだったのに、最後はけんか別れになってしまいました。そもそも赤ちゃんを噛んだのはうっかり目を離した私のせいだし、親に預けていなければ、ソラが死んでしまうこともなかったはずです。慣れない育児に追われ、本当に大切なことを忘れてしまっていたと、心から後悔しています。
※女性セブン2014年5月1日号