「これまで一緒に過ごしてきた間にお互いが劣化したという思いはないですね。事実婚を始めた24年前から年齢的にふたりとも劣化していたのかもしれませんが」
と笑うのは、浅香光代さん(86才)さんの“6代目の亭主”となった作曲家でコメディアンの世志凡太さん(80才)。
ふたりの関係は普通の夫婦とはちょっと違う。女剣劇を引っ張ってきた家元とプロデューサーの関係を優先させ、世志さんは浅香さんを尊敬し、盛り立ててきた。
「私は、台所に立って料理を作るということはしないの。この人が家にあるもので、ちゃちゃっと作ってくれるから」
と浅香さんが言えば、世志さんは「この人のスターとしての良さを知っているから、米をといだり鍋を洗ったり、普通の奥さんがやるようなことはやらなくて平気なんです」といった具合だ。
定年後の夫婦のようにふたりで旅行に行くこともない。せいぜい出かけるのは、近所の寿司屋やラーメン屋程度だという。
「もうさんざんふたりとも全国に行ってきたからね。この前も沖縄に行こうと誘ったら、“あんたと行ってもつまらない。ご祝儀も出ないし、他の男と行ったほうがいい”と言うんですよ(笑い)」(世志さん)
今は寝室も別。モニターを通して、別のフロアにいる互いの気配を感じている毎日だという。
「夜中にこの人がパソコンに向かっている様子を見て、目が悪くならないかと心配してますね」(浅香さん)
けんかもしない。嫌なところも特にない。浅香さんに世志さんへ、夫としての点数をつけてもらった。
「この人は私以外の人と話しているときはおもしろいのよ。でもふたりだけになると何も話さない。朝、おはようございますと、夜、お疲れさまの2語だけよ(笑い)。そこを直してくれたらまあいい。だから15点引いて、85点かな」
最後に世志さんがこうアドバイスする。
「うちの夫婦みたいに同じ夢を持つのが夫婦が劣化しないコツだと思いますね」
※女性セブン2014年5月1日号