「子どもと何歳までお風呂に入るか?」という問題は、娘を持つ父親が常に悩むテーマだが、最近こうした状況に微妙な変化が生まれている。最近、花王が行なったアンケートによると、子供が親との入浴を“卒業”する年齢は、7割以上が小学1~3年の間だというが、小学4年生以上も22.7%いて、問題はこれが何歳まで続くかである。
「うちの妻は、風呂上がりや夏の暑い日などには平気で“パンいち”、つまりパンツ一丁で生活している。でも、息子ももう中学生で、身長は妻とほぼ同じ。先日帰宅した時に、妻がリビングでおっぱい丸出しの状態で息子と並んでテレビを見ている姿を目撃した時は、さすがにのけぞった」(50代男性A氏)
最近の密接すぎる母と息子の関係について、性教育に詳しい一橋大学非常勤講師の村瀬幸浩氏は、こう警告を発する。
「母親の支配から抜け出すことは、男の子が自立するための必須条件。母親の言いなりになったり、例えば裸を見られても恥ずかしいと思わないような異常な癒着は、自立を阻む由々しき事態です。
マスターベーションを母親が叱るという話は昔からよくありますが、最近では、“母親が息子のマスターベーションを手伝ってあげている”という話を耳にするようになりました。こうした母親は寂しさや人間関係の希薄さを埋めるために、子供と密着し、その一体感のなかで癒されることを求めている。本来なら夫との関係を改善すべきなのに、方向が子供に向かってしまっている。その意味で夫の問題でもあるのです」
村瀬氏が続ける。
「子供が母親の癒着を拒否できなくなった場合、母親が性的関心の対象になり、周りの女性に対する関心は薄くなり、まともな関係をつくれなくなってしまう」
また、日本性教育協会「第7回 青少年の性行動全国調査報告(2011年度)」には、興味深いデータがある。母親が専業主婦の男子高校生のセックス経験率は、2005年の約23%をピークに急落し、2011年には約8%にまで下がった。この下げ幅は、共働きの場合や、女子高校生の場合と比べると、格段に大きい。専業主婦は子供と過ごす時間が長く、過干渉になりやすい傾向がある。このことが子供の性の自立を阻害しているのだろうか。
※週刊ポスト2014年4月25日号