「結婚までは実家を離れたことがなく、結婚してからは、“女へんに家と書く嫁”として姑とも同居。ですから、夫の家が私の家、生涯この家から動くことはない、と思っていたんです」
そんな古風な嫁であり、妻、母として家を守りながら、作家としてロングセラーを世に送り、また関西を中心にテレビのコメンテーターとして超多忙な日々を送ってきた玉岡かおるさん(57才)。このほど、初めてのエッセイ集『ホップ ステップ ホーム!』(実業之日本社)を上梓した。
その玉岡さんが、突然、人生初めてのひとり暮らしを始めたのは、50才になってから。
「2人の子供が成人し、続けて義母の介護も一段落。ふと気がつけば家の中はからっぽになり、私は急にヒマになっていた。そこで、気がついたのです。家がからっぽになったのなら、“嫁”という字の女と家の間を少し空ければ、女は家に縛られなくてもいい。どこに住んでもいいんじゃないか、単身赴任も可能じゃないかしら、って」(玉岡さん・以下「」内同)
ちょっと待って…。そう、これってまさに、加山雄三(77才)や清水アキラ(59才)らが本誌に告白した、卒婚である。婚姻関係は解消することなく夫婦お互いのライフスタイルを尊重する生き方――。
しかし、突然の卒婚宣言にも夫は好意的だった。介護の苦労に報いたいという思いもあったからだ。
そう思い立って始まった大阪の中心地でのひとり暮らし。読者から「あるある」「そうそう」と共感を呼ぶおかしな失敗談が繰り広げられ…この顛末の詳細は本書におまかせするとして、一時は本気で韓国・ソウルでの暮らしも考えたようだ。
というのも玉岡さんは大の韓流ファン。韓国旅行はしょっちゅう。韓国語も習い始めて、夫のことを「オッパー」と呼ぶほど。また、2人の娘のことは、テポドン1号、2号と呼ぶが、それは思春期を迎えて反抗する娘たちに悩まされたり、翻弄されたことから。そして、自身のことは堂々と「オバハン」と言うなど、関西人気質のユーモアがいっぱい。
ただし、実際の玉岡さんはオバハンという言葉から連想する容姿とはほど遠い、エレガントな美熟女だ。スレンダーな体を個性的なジャケットに包み、目のさめるようなブルーのターコイズのアクセサリーとネイルが印象的。
「今日はモノトーンの上下ですから、私にしては抑えていますけど」
――いえいえ、黒でも充分に華やかです。
「そうですか。ふだんはどちらかといえば原色、きれいな色しか着ませんね。黒を着るのはお葬式くらい。なにしろ関西のファッションで育ってますから(笑い)」
鮮やかなブルーは、「私の色」とのこと。なお、ペンダントのターコイズは、「パチモンです」といたずらっぽく言う。フェイクということらしい。
※女性セブン2014年5月1日号