あるテレビ番組の調査によれば、「耳掃除が好き」な人は9割以上。でも気持ちがいいからと、こしょこしょ耳掃除をしすぎると、とんでもないトラブルを引き起こすことも。
「もっと奥をと、骨部外耳道をこすってしまう人が多い。それにより、かゆみや痛みを伴う外耳道炎、細菌感染によるおでき、カビが生えるなどのトラブルを引き起こしてしまう。ひどい時には、鼓膜や顔の筋肉を動かす神経を傷つけることも。患者さんの多くは、耳掃除のやりすぎが原因で来院されます」
そう語るのは、笠井耳鼻咽喉科クリニック自由が丘診療室院長の笠井創さん(以下「」内同)。
本来、耳には自浄作用があるが、皮脂腺の集中する軟骨部外耳道の外側で耳垢となる。何らかのトラブルでその作用が働かないと、耳垢を増加させたり、垢で穴を塞ぐ“耳垢栓塞”を引き起こすこともある。
ちなみに、2~3日に1回とマメに耳掃除をしている記者の耳を診てもらった。
「奥(骨部外耳道)が赤く炎症を起こしています。炎症からかさぶたになり、耳垢のもとになってしまうこともあります」という診断。
そういえば、ときどき耳の奥でガサガサ音がするのが気になり、しつこく掃除をしていたのだけれど…。
「それは耳掃除のときに耳垢を奥に押し込んでいますね。自分で無理に取ろうとせず、耳鼻科を受診してください」
ショック! けど確かに、誰にも“正しいやり方”なんて教わったことがない。では正しい耳掃除はどうしたらいいのか? まず、耳かきをしていい範囲はどれぐらいなのか? 耳の穴は、大人は平均3~3.5cmの長さがあるが、掃除をしていいのは軟骨部外耳道と呼ばれる部分(穴から約1cmの深さ)だけ。
「小指を耳の穴に入れ、爪先が触れるところまでが約1cm。その奥の骨部外耳道は皮膚が薄く炎症になりやすいので、耳かき棒などで触らないようにしましょう」
耳かきをすべき頻度はどれぐらいなのか?
耳かきをするのは、多くても週1回までに。2~3週に1回でも充分だという。
「こすりすぎは自浄作用がうまく働かなくなるため、耳垢を増やしたり、外耳道炎や細菌感染などのトラブルの原因にも。健康な人なら、耳垢は自然に排出されるので、掃除をしなくてもいいくらいです」
また、耳かきの正しい取り方はベビーオイルや化粧水、オリーブオイルなどで湿らせた綿棒を使うこと。
「頑固な耳垢は無理やり取ろうとせず耳鼻科へ。太い綿棒だと耳垢を奥に押し込んでしまうこともあるので、赤ちゃん用など細い綿棒を選びましょう。回転させながら周囲を軽く“ぬぐう”感覚で」
※女性セブン2014年5月1日号