「この間、妻が高校2年の息子のパソコンをチェックしたら、エッチな動画がたくさん保存されていたとかで、大騒ぎに。妻は“こんなものばかり見てるから成績が落ちるのよ”と息子を叱責。息子は半べそをかいて妻に謝っていたが、結局、大学受験が終わるまでは自室にパソコンを置かないことになったという。家に帰って妻からその話を聞いた時は、唖然としたよ」
と話すのは40代男性A氏だ。A氏が高校生の頃はエロ本や女性のヌードが掲載されたグラビア雑誌をベッドの布団の下に隠し、夜な夜なふけったもの。部屋を掃除していた母親に発見され、エロ本が机の上にこれみよがしに置かれていたこともあったが、
「こっちも“勝手に部屋に入るな”と反発したし、母親も一応は怒るけど、“男の子なら当たり前”という感覚だったと思う。そんな適度な距離感が、妻と息子の間にない」
とA氏。妻にそんな話をしたら、妻に「あなたの時代とは違う」「そんな欲望を抑えられないんじゃ、一流大学になんか合格できない」と猛反発されたという。
とくに教育熱心な母親には、性への目覚めが勉強時間を減らし、学力を落とすと思い込む傾向があるようだ。日本性教育協会「第7回 青少年の性行動全国調査報告(2011年度)」によると、「勉強時間の多い男子高校生ほど恋人が少なく、性交が少ない」との結果もあり、「恋人と性交経験あり」と回答した男子高校生の約51%は勉強時間が「0」だった。
真面目に勉強する子供のほうがオクテの傾向があるのは当然だろうが、教育熱心な母親の「性への目覚めは勉強の妨げ」という意識が子供に影響を及ぼしている可能性もある。一方で、母と息子の密着度は高まるばかりだ。「町沢メンタルクリニック」院長で精神科医の町沢静夫氏がいう。
「なかには母親がセックスカウンセラーのようになっているケースもある。母親相手に『あのコと手を握ってもいいのかな?』とか『あのコとキスするにはどうすればいいの?』といった恋愛相談をする男子は珍しくない。背景にあるのは、母親の“巨大な愛”。いまの母親は夫とつながるよりも、子供のほうに精神的につながっている。
“息子は絶対に手放したくない”という思いを持っている母親も多く、息子のほうもそんな母親の巨大な愛にくるまっているうちに性的興奮が鈍麻していく。射精年齢が上昇しているのも頷けます」
かくして、父親世代には理解しがたい“超草食男子”が増殖しているのである。
※週刊ポスト2014年4月25日号