STAP細胞論文に疑義が発生して以来、小保方晴子・理化学研究所ユニットリーダーの科学者としての信頼は揺らいでいる。だが、4月9日に小保方氏による大阪市内で行った記者会見によって彼女を信じる雰囲気も一部で浮上している。小保方氏を称賛する漫画家の小林よしのり氏と作家・アイドル評論家の中森明夫氏、信用できないという漫画家の倉田真由美氏が、小保方氏が会見で凛とした態度を取りつづけたことについて語り合った。
倉田:小保方さんがいろいろインチキしてることは認めるでしょ?
小林:認めてないよ。
中森:未熟であるがゆえの間違いですから。
倉田:でも、博士論文のコピペ問題、画像の切り貼り問題、転用問題、マウス取り違え問題と、私が知ってるだけでも不誠実な行為が4つもあるんですよ? それを全然おとがめなしで「素晴らしかった!」って何で言えるのかなー。
中森:だって、社会的な制裁は受けてるじゃないですか。プライベートまでさんざん報道されて。じゃあ、くらたまさんは小保方さんをどう思ってるの?
倉田:相当、太い女でしょうね。ふつう、自信のないことを質問されると、人間って態度に表われるんですよ。ちょっと言葉を詰まらせたり、ソワソワと髪の毛をいじったり。でも彼女は、明らかに怪しい答えを口にするときも、凛としている。そこがかえって恐ろしい。虚言癖の人って、ギリギリの嘘をつくんですよね。
私、本当にSMAPとマブダチ~。今度の飲み会に呼ぼうか?」とか言いながら、携帯電話を出してみせたりするの。で、ギリギリのところで「あ、ごめん、今日はダメだったんだ~」。これが虚言癖の人のパターンなんです。自分が危うい立場になる直前まで嘘をつくわけ。それと似たものを感じましたね。だってプロの科学者たちが、「200回の成功はおかしい」って言ってるじゃないですか。
中森:うん、言ってる。でも、科学者とか科学ジャーナリストって、つまんない人たちだね。顔も表情も喋りも。もちろん、彼らが粛々と地道に科学を伝えてることはわかったし、尊敬もしますよ。ただ、あんな地味な人たちに混じって割烹着を着て実験してたのかと思うと、ますます「小保方さんはすごい」と思っちゃう。
倉田:いや、話が逆でしょう(笑い)。まともな科学者たちが騙されてたって話なんだから。普通の企業で言うとね、「すごい取引もらってきました」みたいに言ってきて、上司が「お前すごいぞ」と。それで、「こういう案件でこれぐらいの取引になります」「凄いぞ、これで我が社は凄いことになるぞ」って。そこまで言っておいて、実はそれが嘘だったというような話だと思うんですよ。
小林:それに、会社がまるごと乗っちゃうって、一体どういう組織なんだ、どういう社長なんだ。理研が悪いよ、それは。
※週刊ポスト2014年5月2日号