「今回、何より感動したシーンは、映画の中でしんちゃんが『コロッケ』とぼくの名前をつぶやいてくれたこと。これはとんでもないすごいことなんです!!」
そう笑顔で話すのは、公開中の『映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』(配給/東宝)で、クレヨンしんちゃん映画史上、初めて2年連続声優を果たしたものまね芸人のコロッケだ。
映画は、ぎっくり腰を治しに行った野原一家の大黒柱・ひろしが、なんとロボットにされてしまう。日本の父親の復権をもくろむなぞの組織『父ゆれ同盟』の巨大な陰謀に巻き込まれた“とーちゃん”が、しんのすけとともに悪に立ち向かう感動作だ。
コロッケといえば、ものまねレパートリーは300以上のものまね芸のスペシャリスト。演じる頑馬(がんま)博士は『父ゆれ同盟』の天才科学者で、ロボット開発のスペシャリストだ。
実は記者が映画を見た時、頑馬博士の声を聞いただけでは、コロッケが演じているとはわからなかった。それほどなじみのない声だった。一体、頑馬博士の声をどのようにつくり出していったのだろうか。
「ぼくは3オクターブの音域の幅があるんですが、まず、どこに照準を合わせるかを考えました。声が低すぎると博士のオドオドした、ビクついている感じが出ない。でも、高すぎると腑抜けな感じになりすぎてしまう。
ただ、どこかに“私がいなければロボットはできないだろう”という自信はなくてはいけないし、クスッと笑えるところに落とさなければいけない。頑馬博士の性格をつくることで声もつくっていきました。原型のあるものまねとはそこが大きく違うところですね」
ゼロからつくるからこそ「やりがいがあった」と彼は振り返る。アフレコ時は何通りかの声を用意。自分がいちばん合うと思った声ですんなり受け入れられた。
「あぁ、研究したのがよかったなと思いました」
この“研究”内容が面白い。
「頑馬博士は独り言が多いので、薬の使用上の注意書きを読んで練習しました。なぜなら使用上の注意は日常生活によくあるもの。それでいてわざわざ人に読み聞かせるものではないから、独り言の練習にピッタリだったんです」
※女性セブン2014年5月8・15日号