インスタントうどんとしてファンから長く愛されている日清食品「日清のどん兵衛 きつねうどん」。何気なく食べているだけでは気づかない「意外なトリビア」を紹介する。
■どんぶり型容器の元祖
カップうどんといえばどんぶり型の容器だが、その先駆は「日清のどん兵衛 きつねうどん」だ。カップ麺の容器は「カップヌードル」のような縦型が主流だったが、「どん兵衛」は1976年の発売当初からどんぶり型を貫いている。
「品質にこだわった和風カップ麺として誕生したのが『どん兵衛』です。容器も日本人の食習慣に基づいてどんぶり型を採用しました」とは、日清食品マーケティング部第2グループ・ブランドマネージャー大石哲夫氏。今ではおなじみの形状は、こうしたこだわりから誕生したのだ。
■つゆの分け目は「関ヶ原」
フタと本体に、小さくEとWの文字が入っている。Eは「East(東)」、Wは「West(西)」を意味する。地域による嗜好の違いを踏まえ、発売時から東日本向けと西日本向けでつゆの味を分けているのだ。
東はかつおを基調に、西は昆布の旨みを特徴としている。東は濃く、西は薄く、つゆの色も濃淡が違う。
「当時の開発メンバーが新幹線『こだま』で各駅へ降り、ホームや構内、近辺のうどん店で食べました。地域の味を自分の舌で確かめて線引きした結果、つゆは“関ヶ原”で分かれると突き止めたんです」(大石氏)
関ヶ原を境に愛知県・岐阜県・三重県を含む東エリアを東日本、福井県・富山県・石川県を含む西エリアを西日本として地域別商品を展開している。
「リサーチは現在も引き継がれています。駅単位でちょっとしたズレがでても、基本的な分岐は約40年変わりません」(同前)
2009年からはつゆに北海道産利尻昆布を使用した北海道限定商品も仲間入りしている。
※週刊ポスト2014年5月2日号