ダイエットを巡る様々な言説は科学的に突き詰めていくと、嘘・ホントが分かれる。よく出るここでは3つの疑問について検証してみた。
●お酒を飲んでも太らない?
アルコールのカロリーはエンプティカロリーと呼ばれ、体に脂肪として溜まることなく分解されて排出されていく。医学博士で健康科学アドバイザーの福田千晶氏が解説する。
「お酒しか摂取しなければ確実に痩せます。ただ、必要な栄養素は何も摂れません。またアルコールには食欲増進作用があってつまみを食べ過ぎてしまうし、アルコールで摂取したカロリーを優先的に消費している間、他に食べたもののエネルギーは使われず、脂肪が蓄えられる原因となります」
●タバコを吸うと痩せる?
「禁煙したら太った」という話もよく耳にする。実際、米イェール大の研究では、ニコチンが脳の視床下部にある満腹中枢を活性化することが明らかになっている。
ただし、厚労省の統計では喫煙者には肥満が多いとあり、喫煙者は生活習慣が乱れがちだからではないかといった分析がされている。つまりは「吸えば痩せる/太る」といった単純なものではない。
●夜食べると太りやすい?
常識のように「夜食べるのはダイエットによくない」といわれるが、実ははっきりしない。
午後10時から午前2時の時間帯は脂肪を蓄積するはたらきがあるBMAL1というたんぱく質のはたらきが活発になることがわかっているが、一方で食べる時間によって体重は有意に変化しないという実験結果も数多くある。
脂肪として蓄積されやすくても、摂取カロリーより消費カロリーが多ければ脂肪は燃えるからだ。ただし、食べてすぐ寝ると血中の糖を消費しにくくなり、高血糖の時間が長く続くため動脈硬化などにつながる恐れはある。夜遅くの食事を避けたほうがいいのは事実だ。
※SAPIO2014年5月号