『笑っていいとも!』(フジテレビ系)の終了から約1か月が経ち、テレビを点けてもタモリを見られないことの喪失感を表す“タモロス”なる言葉も生まれている。現在のタモリのレギュラー番組は『ミュージックステーション』(以下、『Mステ』)と『タモリ倶楽部』(いずれもテレビ朝日系)の2番組。テレビ局関係者はこう話す。
「『いいとも』終了後、タモリさんがテレビ初登場となった4月4日の『タモリ倶楽部』の視聴率は5.7%。前週3月28日の6%より、やや下がっています。その後も、同番組は5.5%、5.2%と5%台が続いています。『いいとも』が終わり、“タモロス”が嘆かれているため、数字が上がるのかと思いきや、そんなことはありませんでした。
『Mステ』は4月11日に、『いいとも』終了後の初オンエアで、8.4%。次週は11.1%。これまでとあまり変わらない数字です。もちろん、『Mステ』は出演アーティストによって数字が変動する。タモリさん主役の番組ではないので、『いいとも』終了の影響は、あまりないと思います」
世間で“タモロス”と騒がれている割には、タモリ出演番組の視聴率が上がっていないことは事実のようだ。
「“タモロス”というより、“いいともロス”でしょうね。ただ、“タモロス”と言っている人たちも、最近まで『いいとも』を見続けていたかは疑わしい。テレビを点ければ、いつもやっているという安心感を失ったという程度の感覚でしょう。本当に多くの人が見ていれば、『いいとも』が終わることもなかったわけですからね」(同前)
タモリの新番組を望む声は、巷からも業界からも上がっている。
「フジの亀山千広社長が会見で述べたように、『いいとも』の同窓会番組をすれば、いい数字はとれるでしょう。でも、新番組となれば、話は別。最初こそ話題性で持つかもしれないが、継続するには中身が良いか悪いかにかかっている。
たとえば、久米宏は18年半続けた『ニュースステーション』(テレビ朝日系)を卒業した後、日本テレビで、アジアの話題を紹介するバラエティ番組『A』を始めたが、わずか2か月強で終了した。当時、久米の新番組は大いに期待されただけに、意外な結果に業界中が戸惑いました。以降、久米は『久米宏のテレビってヤツは!?』『クメピポ!絶対あいたい1001人』(いずれもTBS系)といった冠番組を担当しましたが、どれもヒットには至らなかった。それ以来、地上波のレギュラー番組はありません。
世間的にも業界的にも、“タレントが視聴率を持っているかどうか”と判断しがち。でも、当たり前のようだが、大事なのは番組の中身。タレントを生かすも殺すも、内容次第です。言い換えれば、『いいとも』が31年半続いたのは、タモリさんの凄さと同時に、歴代のスタッフが優秀だったから。
タモリさんの事務所は、新番組のオファーがあった場合、内容を吟味しながら、十分にイケると踏んだものしか手を出さないと思いますよ。タモリさんはお金も名誉も十分ありますから、あえて火中の栗を拾いに行くようなことはしないでしょう」(同前)