ここ数年、絶好調だったテレビ朝日の視聴率に陰りが見え始めている。3月31日から4月21日までのゴールデンタイムの平均視聴率が、昨年同時期と比べ、2.3%下降。民放4位と暗黒時代に逆戻りしている。なぜ、数字が落ち始めたのか。同局で仕事をする放送作家のひとりはこう話す。
「ある程度は予測できました。年末年始や改編期でもないのに、ゴールデンタイムで大型特番を毎週のように放送していた。2時間でも大変なのに、3時間、3時間半にも及ぶ長尺も珍しくなかったですからね」
これは、制作サイドからすれば、本当に疲弊するのだという。3時間特番を1回やれば、基本的に2回休みになるため、手間と疲労状況は同じだと思われるかもしれないが、毎週放送するよりも、3時間特番1回のほうが疲れは溜まるのが制作スタッフにしては偽らざる本音なのだという。
「やはり、プレッシャーの違いですね。レギュラー放送もそうですが、特番ではいつも以上に滑るわけにはいかない。その日の局の命運が懸かっていますし、3時間特番で1ケタの数字を出してしまえば、次の放送までずっとブルーな会議が続きます」(前出・放送作家)
放送作家へのギャラの配分も、特番では変わってくるという。
「2時間特番をしたからといって、2回分のギャラが振り込まれるわけではありません。たとえば1本10万円だったら、2回放送すれば20万円ですよね。でも、2時間特番の場合、放送時間は同じでも、16~18万円くらいですかね。4分の3程度に値引きされるケースが多いのです。
もちろん作家によっても違うでしょうし、すべての番組がそういうわけではないと思います。テレ朝に限った話でもありません。ただ、プレッシャーがいつも以上に懸かるうえに、ギャラも下がる。それが毎月続いていた。やっぱり、やる気は削がれますよね」(前出・放送作家)
内部の局員はボーナス増額などの恩恵を受ける一方で、外部スタッフにはしわ寄せが。視聴率低下の要因は、こんなところにもあるのかもしれない。