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片桐仁 辻仁成の芥川賞受賞『海峡の光』等3冊の愛読書紹介

 本は人を創り、人を変え、人を育てる。時間に余裕があるときにじっくり読んでみたい本、ベスト3をRAHMENSの片桐仁が厳選してくれた。

 * * *
『漁師の角度完全増補改訂版』(竹谷隆之/講談社)は1999年に発表されて絶版だったものが、最近復刻されたんです。オリジナルのSF小説に、ジオラマ(背景も含めた模型)がカラー写真で付いている。これが素晴らしいんですよ! 見たこともない化け物が次々と出てくるんですが、オリジナルにも程があるって感じで(笑い)。もともと雑誌連載でしたが、原稿料だけでは赤字だったと思う。自分が作りたくて作ってるんですね。

 鈴木康広さんは『ファスナーの船』などで知られる現代アートの人。『まばたきとはばたき』(鈴木康広/青幻舎)はその作品写真と解説です。どのページからでも読める本なので、ぼくはトイレに置いて愛読しています。彼の頭の中を見る感じで、日常生活を面白いと思うヒントがたっぷり詰まっている。「感受性」というのは大事。ちょっとモノの見方が変わると何もかもが変わって見えてきますよ。

『海峡の光』(辻 仁成/新潮文庫)は芥川賞を受賞した小説で、作者は最近何かと話題の辻仁成さん。少年時代に看守をいじめた人間が受刑者として現れ、どんどん看守の鎧がはがれていく。今ちょうど舞台をやっていて、ぼくが看守、中村獅童さんが受刑者を演じています。

※女性セブン2014年5月8・15日号

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