近年、健康志向の高まりもあり、コーヒーやお茶といった飲料からカフェインを取り除く「カフェインレス」市場がブームとなっている。
そんな中、日本人にとって馴染み深い緑茶から、世界初となるノンカフェインの商品が誕生した。キリンビバレッジから4月29日に発売された『やさしさ生茶 カフェインゼロ』である。その開発部隊を訪ねてみると、入社6年目の若き女性社員も活躍していた。
井尻綾夏さん、27歳。現在は同社のマーケティング部で『生茶』ブランドの商品担当をしているが、入社時から昨年まで中四国地区本部にて営業企画に携わっていたという。
「私は東京生まれで広島には縁もゆかりもなかったので、最初に配属先を聞いたときは『中・四国、遠いなぁ……』と正直思いました。
でも、赴任義は休みになると同期と一緒にフラダンスを習って大きなお祭りで踊ったり、孤島を巡って自然を満喫したりと、4年間ですっかり大好きな町になりました。いまでは第二の故郷だと思っています」
営業企画は内勤だが、キリン商品の流通販売促進をサポートする大事な業務。井尻さんは清涼飲料水全体の売れ行きも見ながら、仕入れ先の冷蔵ケースに自社だけでなく他社も含めてどの商品をどう並べるかなどの提案を練っていた。「船でいえば航海士みたいなイメージ」と振り返る。
だが、いつしかメーカーの醍醐味ともいえる「商品開発」に関わりたい、と心の底では願っていたという。そして昨年、ついに東京の本社マーケティング本部への辞令でチャンスが巡ってきた。
「最初の6か月間マーケティングのイロハをみっちり学びながら、『生茶』チームに加わってリニューアルを手掛けたり、ノンカフェインの新商品づくりに関わったりと、さまざまな業務をこなして頑張っています。
でも、たまに大きな失敗もします。この間は大事なお得意先に何百ケース単位の『生茶』を届けなければいけないのに、FAXの手配ミスで物流部署に伝わっていなかったんです。自力でトラックを手配して私も荷積みを手伝ってなんとか届けられましたが。冷や汗をかきました」
まさに遮二無二働く日々。最近は忙しくてプライベートの時間も満足に取れないと話す井尻さん。だが、恋愛・結婚については漠然とでも先々のイメージを描いているようだ。
「広島時代には遠距離恋愛や破局も経験して、恋愛の難しさに改めて気付きました。いまは仕事も楽しいので、結婚は3年後ぐらいにできたらいいなと思っています。それまでは海外旅行にもたくさん行って、もっと見聞を広めたいですね」