巨人戦では視聴率が取れないと言われてから久しい。長嶋茂雄監督(当時)のもと、巨人が王貞治監督(当時)率いるダイエーを下して日本一に輝いた2000年の夏辺りから視聴率は下がり、2006年以降は巨人戦が地上波中継されないことも珍しくなくなった。そして、いまや中継されることのほうが稀である。
4月はプロ野球が開幕したばかりということもあり、各局で巨人戦中継が放送されているが、ほとんど1ケタ。ゴールデン帯における合格点とは言えない。テレビ局関係者が話す。
「巨人のお膝元とも言える日本テレビは視聴率好調ですから、あえて1ケタの野球中継を放送するメリットがない。巨人に何十年もお世話になっておきながら……という意見もありますが、2ケタ確実の番組をやめて、あえて巨人戦を持ってくるメリットがない。背に腹はかえられない状態です」
他局になると、話は少し変わってくるという。
「正直、フジやTBSの場合、通常番組があまり2ケタに乗らないので、クライマックスシリーズや日本シリーズなどを見据えて、あえて中継しておくのも悪くはない手です。視聴率の取れそうな重要なカードをどの局に中継させるかは、“実績”がモノを言いますからね。
事実、4月の地上波でのナイター中継は7試合(関東地区)ありましたが、4試合がフジテレビ、2試合がTBS。日テレは1試合のみです。
かつて、フジテレビは我先にと巨人戦から撤退しましたが、あの頃は局全体の数字が良かったですからね。今の状態であれば、巨人戦も通常番組も大して変わらない。それならば……とナイター中継をしているのが本音でしょう。
テレ朝は今ほど好調ではなかった数年前までは、巨人戦をゴールデン帯に放送していました。日本テレビが手放した東京ドームの試合を中継していた時期もありました。その甲斐があってか、日本シリーズの放映権も獲得できました。2008年は、東京ドームの巨人主催ゲームにもかかわらず、第2戦はテレ朝での放送になりましたからね。
しかし、今はゴールデン帯の番組が好調なので、数字の落ちる巨人戦を中継する必要がなくなったわけです」(同前)
かつては各局がしのぎを削った巨人戦の放映権。現在では、元気のない局が将来を見据えて、中継する傾向になっている。