健康食品としてアーモンドが注目されている。アメリカではアーモンドミルクがブームになり、国内でもアーモンドを使用した商品も増えてきた。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏がリポートする。
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2012年の年末、「2013年のトレンド予測」として「アーモンドが来る」というトレンド予測を書いた。当時、すでに海外ではハリウッドセレブなどアーモンドを食べる健康法を実施している層が一定数存在していたからだ。当時の時点で国内でもナッツ類、とりわけアーモンドが売れ筋になった店もあったが、2013年の動きを見る限り、「ブレイク!」と言い切れる状況ではなかった。
アーモンドは海外では長く研究し続けられてきた天然の健康食品とも言える存在で、海外では様々な知見が積まれている。ナッツを食べる習慣が寿命にどう影響するか、数万人を対象にした数十年に渡る追跡調査も行われている。
そしてそのアーモンドにいよいよ日本でもブレイクの兆しが見えてきた。昨年頃から、アメリカで大流行したアーモンドミルクがこのところ立て続けに国内で発売されている。ブルーダイアモンドやグリコのほか、複数のメーカーや輸入商社がこぞってアーモンドミルク市場での覇権争いを始めているのだ。
アーモンドミルクとは、水に浸したアーモンドをミキサーなどで砕き、食物繊維をこした飲料のことで、牛乳と違って乳糖やコレステロールを含まない。つまり「牛乳でお腹がゴロゴロする」乳糖不耐症の人でも摂取が可能。2012年度のアメリカの市場規模を見てみると、アーモンドミルクのシェアは47%と、豆乳の39%を抑えて、1000億円規模の代替乳飲料市場で堂々のトップとなっている。低カロリーでアーモンドの栄養成分が摂取できる上、「ミルク」代わりにコーヒーや紅茶などの飲み物に入れたり、シリアルとの相性もいい。
国内発売の商品群も幅広くなってきた。コーヒー味やチョコレート味などのフレーバーのバリエーションのほか、砂糖不使用のものや有機アーモンドのみを使用したものなど、機能性にも広がりがある。
そもそもアーモンドには食べ物として最高レベルのビタミンEが含まれている上に、食物繊維やミネラル分も豊富。体を「サビ」させる活性酸素に対する抗酸化作用もあり、老化の原因物質であるAGEsも減らす効果は検証済み。動脈硬化防止、心疾患リスクや発がん率の低減、その他生活習慣病の防止に、アンチエイジングやダイエットなどさまざまな効果が期待されている。
唯一の課題は、2012年の秋ごろは、小売価格で1kgあたり1000円そこそこで買うことができた生アーモンドが、世界的な人気の加熱により店頭での価格が2倍近くにまで跳ね上がっていることか。だが「健康」「アンチエイジング」について一定の効果が得られるなら、カネに糸目をつけない人は少なくない。今年こそアーモンドは「来る」のだろうか。